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毎日目にする広告の数と消費者心理

 毎日幾度となく目にする広告。近年はスマホの普及、そしてインターネットの拡大でネット広告はかなりの売り上げをたたき出している。

 買いたがる脳には「消費者が毎日約4000の広告を目にしている」とある。そしてこの広告の多くは個人的な問題に関するものが多いという。太りすぎ、薄毛、にきび、しわ、乾燥肌にオンリー肌、胸やけ、歯の汚れなど。こうした広告を人々は目にすることで、それらのサービスを「望まれないが必要なサービス」から「必要不可欠なサービス」であるかのような認識を受けたりする。

 広告を見ることによって人々は様々な影響を受ける。それの多くはポジティブな内容で、特にわかりやすいのは目にする機会が増えれば増えるほど好感を持つ単純接触効果かもしれない。

 消費者心理は人の脳が、いかに適当かを教えてくれる。

 食品の買い物に行く時、食後の量によって買い物の購入する商品や量が変化することが分かっている。調査ではお金を渡しスーパーでランチを購入してもらった。Aのグループは朝から何も食べていない、Bは370カロリーの朝食を食べていた。両社の購入した商品を調べた結果、空腹のAグループはほとんどがジャンクフードを購入。対して軽食を食べていたBは栄養価が高く、脂肪分が少ない食品を選んでいた。数値に表すとこうだ。

 空腹A・・・合計2840カロリー 脂肪分141g 糖分118g

 軽食B・・・合計715カロリー  脂肪分28g 糖分48g

 つまり食品を買いに行くときは軽く何か食べておいた方がカロリーを抑えた買い物ができる

 心と体は大きな影響を受けている研究結果は他にも数多く存在し、「ある消費者を対象にした研究では堅い木製の椅子に座っているより柔らかい椅子でくつろいでいるほうが、車の購入における交渉で柔軟な対応が見られた」とある。

 椅子の座り方でも変わる。謙虚な姿勢と高慢な姿勢のグループに分け60秒間同じ姿勢を続けた後、唾液を摂取しギャンブルテストを行うと高慢な姿勢のグループはギャンブルにおけるリスク選考的な割合が86%、リスク回避的な割合が14%だったのに対し、謙虚な姿勢のグループは60%と40%だった。研究グループは「姿勢の違いによる簡単な操作だけでも、被験者の心理的、精神的、感情的状態は劇的に変化する」と分析している。

 また別の研究では頭を左もしくは右に傾けている状況で情報を聞いたとき、頭を右に傾けていたグループは、左に傾けていたグループにくらべて注意深く話を聞き、記憶も正確という報告もある。

 とすると広告を見た消費者は無意識的に多くの影響を受けていることは間違いない。

 本書「買いたがる脳」を読んでいて一番興味深かったのは任天堂に関する噂だ。

 ある研究を紹介しよう。女子大学生にスポーツドリンクを好きなだけ飲んでもらう実験で、彼女たちには2種類のビデオを見せた。ひとつは腕を曲げている映像、そしてもうひとつは腕を伸ばしている映像。結果は腕を曲げている映像を見た学生のほうがより多くのドリンクを飲んでいた。これは「腕を曲げる行為」には手に入れたいという願望、「腕を伸ばす行動」は拒絶と連動することから、こうした結果が出たとされる。そして本書はこう続く。

そうなるとテレビCMのわずかな動作でさえ、ほとんど認識されずに視聴者の商品評価に多大な影響を与える可能性がある。しかも任天堂マイクロソフトは、消費者の身体動作を利用して脳をハッキングしているという議論もある。おそらく任天堂WiiマイクロソフトKinectプレイステーションブームのような体を使って遊ぶゲームの大ヒットは、特定の動作によって前向きな感情につなげていることにもある。

 こうした議論は初耳だが、単なる広告でも私たちは多くの影響を受けている可能性があるとすれば、広告も適当に作っていいわけがないのだ。さらに今はYoutubeで多くのユーチューバーが活躍する時代。もしかすると人気になるユーチューバーも計算か無意識か、こうしたポジティブな影響を与える動作を繰り返しているのかもしれないと考えると、消費者心理はとても面白いと感じるのだった。

 買いたがる脳には多くの研究データが紹介されていて、いかに人間の脳が適当か、そしてそれらは操作が可能であるかを教えてくれる。こうした情報を知っていたとしてもきっと流されるのだろうなと思うと、人間の脳というのはなんて雑なのだろう

買いたがる脳

買いたがる脳

 

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