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流行するために必要なもの2つ【ヒットの設計図】

ヒットの設計図――ポケモンGOからトランプ現象まで

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なぜヒットするのか

なぜ商品はヒットするのか。本書ではまず絵画のヒットについて語られる。

絵画の一つに印象派というジャンルがある。印象派の代表的な画家にモネやルノワールがいる。本書では7人の画家の名があがっているが、彼らがどうして印象派の代表的な人物となったのか。彼らと彼ら以外の印象派の画には違いがあるのか。それを研究したところ、代表的な7人にはある共通点があった。それがカイユボットという一人の男が遺書に書いた名前ということ。

カイユボットは絵画をコレクションしていた。そして自分の死後、集めた絵画を美術館に展示するよう遺書に書き残していた。色々な問題はあったが彼が集めたコレクションは無事に美術館に展示された。これがヨーロッパ全体で最初の国立美術館に展示された印象派絵画だった。

美術館に展示される画。それだけでも格がつき、美術史学者は最初に展示された印象派の絵に注目した。そうしてカイユボットの集めた印象派の絵画は美術館から高く評価され、それらを描いた絵画たちにも人気が出た。

この事実を解明したカッティングという人はある実験をした。印象派の絵画を2点ずつ見せ、どちらが好きかを答えてもらった。2点のうち片方はもう片方よりも「はるかに有名な」作品を用いた。結果10回のうち6回まで被験者はより有名な絵を好きだと答えた。

彼は次の実験をした。別の被験者に19世紀末期のあまり知られていない印象派の絵を、「はるかに有名な絵」の4倍の頻度で見せ続けた。そして同じく2点を見せ好きな方を選んだもらった。結果、51組のうちの41組は有名な印象派の絵を選ばなかった。

つまり人は「なじみ」があるものを好むということだ。そして人々の「美」は環境と人との相互作用によって作られていく。

なじみだけではいけない

ヒットを作るためには「なじみ感」が必要だ。しかしそれだけではいけない。人はなじみがあるものを好むのは確かだが、それだけではいけないのだ。

ではなにが必要か。それが「新しさ」だ。20世紀最大のヒットメーカーの一人、レイモンド・ローウィは「MAYA」と呼ぶ一般理論を持っていた。「MAYA」とは「Most Advanced Yet Acceptable(非常に先進的でありながら受け入れ可能なもの)」という意味だ。受け入れ可能なものとはつまり「なじみ感」。そして先進的でありながらというのは「新しさ」だ。

人々は新しいものが好きなのだ。だが新しすぎてはいけない。人は新しいもの好きと同時になじみのないものに抵抗を抱く。新しすぎると人は抵抗するのだ。この新しさとなじみの両立がヒットにはとても重要な要素となってくる。

2014年にハーバード大学ノースイースタン大学は共同で一流研究機関から研究資金を得やすいのは「安心感となじみ感のある研究」なのか、「非常に創造的に富む研究」なのかを知るために調査を行った。

結果は、もっとも新規性が高いいくつかの研究は評価が最低だった。研究チーム曰く「新しいものは、誰からも好まれない」そうだ。ありふれた内容の計画はそれよりも多少マシだったがこちらも評価が高くなかった。

最高の評価を得たのは「多少新鮮味がある」と評された研究計画だった。これが「先進的だけれども、受け入れてもらえる程度の新しさ」である。

流行を作れるか

本書はここから音楽の新規性と慣れ、吸血鬼とストーリーの魔力、ファッションの流行と特定の分野の流行に触れられていく。

なにかをヒットさせるには「なじみ感」と「目新しさ」この2つが重要で、どちらが欠けていてもヒットしない。人は心地よさを求めている。なじみのないものには抵抗を抱くし、なじみがありすぎてもつまらないと感じてしまう。

ちょうどよい塩梅を見つけることができたとき、ヒットは生まれる。

本書にはPPAPのピコ太郎の流行についても解説されている。ピコ太郎の流行は運なのかどうか。ぜひ本書を手に取って確かめてもらいたい。

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