本を熱いうちに読む

読書ってなんですか

面白いを作る「エンタテインメントの作り方」

 

 「硝子のハンマー」、「新世界より」、「青の炎」など数多くの作品がアニメ・ドラマ化されている貴志祐介さん。彼が小説とどう向き合っているかを説明した本があったので読みました。

エンタテインメントの作り方

 タイトルに「エンタテインメントの作り方」とあるが、本の内容は著者がどうやって小説を書いてきたかが細かく書かれていたりする。たまに著者以外の本も取り上げられるが、やはり説明しやすいのは自分が書いた小説だろう。

 第1章のアイデアの最初に書かれていることは「メモを取ること」。エンタメに限らずなんでもまずはメモを取ることが大事だという。人間は忘れる生き物だからメモを取っておいてあとで見返す。こうしてメモをたくさん残してから使えそうなネタがないかを考える。こうした地道な作業が面白い作品を作り出すには必要なんだと思う。続いて「もし〇〇が××だったらという発想を持つ」とある。たとえ話としてもしインフルエンザがもたらすのが苦しみではなく楽しみだったらをあげている。こういった発想の転換もまた初歩中の初歩なのだろう。

 こうした小説を書くうえで、基本中の基本から応用まで様々なテクニックを紹介してくれている本書。その中に、最近の小説についてこう書かれている。

小説はもはや、総合格闘技に近い分野になりつつあり、読者をノックアウトするためには持ち得るアイデアのすべてを投ずるべきだ。

 SF×ミステリや恋愛×ミステリなど他ジャンルの組み合わせは日常茶飯事になってきている。もはやアイデア一つだけでは他作品と被るしオリジナリティを出すのが大変な面もあるだろう。そうしてジャンルは複雑化していくのかと思う。

 最近は異世界転生と呼ばれるジャンルが人気を博している。異世界転生とは現世、主に日本にいる主人公が死んで異世界へと転生し第二の人生を歩んでいく物語だが、死なずに異世界に行く転移や、誰かが召喚するといった方法もあって異世界転生は様々なパターンが存在する。そして異世界転生系とは違って、現世が登場しない最初から異世界だけの物語も当然ある。異世界転生と異世界の作品は似て異なるもので、分け方の一つに、異世界の主人公を「現地主人公」と呼んでいたりする。でも異世界転生系も異世界という舞台は一緒なのだから、どこまで分けて考えたほうがいいのか難しいようにも思うのです。

 小説のテクニックで一番なるほどなと思ったのが「長編作品は短編の集合体」という部分。結局小説というのは長編が一般的で、短編よりも重宝される。しかし長編といってもそれは短編が繋がって出来上がったものであり、長編を書くんだという意気込みよりも短編をいくつもつなげるという感覚でいたほうが気持ちは楽だろう。

 こういった本を読むと自分も小説を書いてみたくなるが、小説を書く前段階のプロットをたくさん書いたという話もあり、小説を書き始めるまでの準備段階で挫折してしまいそうだと感じたりもするのであった。

 おしまい。

本日の一冊

エンタテインメントの作り方

エンタテインメントの作り方