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モチベーションとポジティブから見る「パフォーマンス」

本日の一冊は「パフォーマンスがわかる12の理論―「クリエイティヴに生きるための心理学」入門!

 パフォーマンス心理学入門とのことですが、パフォーマンスの定義は幅広そうで、本書では「可視化された達成行動のプロセスや成果」の総称とあります。それらに関する12の理論を12人それぞれの著者が独自の視点で書かれたのが本書の構成で、気になる理論のところだけを読むのも良さそうです。まだ6の理論までしか読んでいませんが、前半読んで気になったところをいくつかまとめておきます。 

モティベーション

 モチベーションなのかモティベーションなのかは置いといて、まず最初に取り上げられているのはモチベーションについて。やる気とも言い換えることができるが、良いパフォーマンスを上げるにはモチベーションが必要不可欠。モチベーションがないのに良いパフォーマンスをあげることは困難で、モチベーションについて知ることは良いパフォーマンスをする上でとても大切なことです。

 モチベーションには2つのメカニズムがあります。

やる気のメカニズムは、大まかにいって「押す力(push)」と「引く力(pull)」という二要因の力学によって説明されてきた

 押す力というのは個人の内部から湧き出るやる気のこと3つの要因にわけられる。そして引く力というのは個人の外部、いわゆる環境によって沸き起こるやる気のことである。

個人内には「認知」「感情」「欲求」といったプッシュ要因、個人外にはプル要因である「環境」が存在し、動機はそれら四要因が相互作用することによって形成されると考えられる。

 動機は「やる気状態」のことを指すが、やる気状態だけでは良い成果にはつながらない。動機(やる気)を現実化する「意志」が必要になってくる。意志には「始める意志」と「続ける意志」の2種類があり、この意志(〇〇を成し遂げる)と欲求(〇〇したい)の複合語といわれる「意欲」が注目のキーワードとしてあげられている。

 っとまあ理論1「モチベーション」には上記のようなことが書かれている。パフォーマンスは成果と言い換えるとわかりやすい。成果を上げるにはモチベーション(やる気)が必要だ。やる気がないのに高い成果をあげることはできないわけで、当たり前のことなのだけど、意識しないとモチベーションは維持できなかったりする。このブログもまた高い成果をあげるにはモチベーションが必要で、モチベーションがないために記事が書けないことも多い。モチベーションを高めることがいかに大切かがわかる理論でした。

「ポジティブ」

 理論3「感情」、そして理論4「自己認知/意識」にはポジティブ感情/思考についての記述がある。米国の社会学者バーバラ・フレドリクソンはポジティブ感情について「拡張・構築モデル」という仮説を提唱している。

彼女によれば、喜びなどのポジティヴ感情は、ネガティヴ感情とは逆に、個人の注意の焦点を拡げ、個人に、環境からより広くまた多く情報や意味を取り込ませたうえで、思考や行動のレパートリーを「拡張」させる働きをしているのではないかという。より具体的には、ポジティヴな感情状態にあるとき、人は、記憶のなかの通常は意味的にかなりかけ離れているような事柄に対して積極的にアクセスし、それらを結びつけることができるようになり、また、より広く一般的な知識構造を活用し、より包括的なカテゴリーで物事を考えることができるようになるため、全般的に創造性が増大する傾向があるらしい。

 この仮説を読むと、ポジティヴ感情がいかに素晴らしいものであるかが伝わってくるが、本当にポジティヴ感情は良いことだらけなのだろうか。カナダ人と日本人の比較研究では、課題の取り組み方に差異があったことが報告されている。

カナダ人では先行する課題に成功したと思い込まされたときに、次なる課題への持続的な取り組みが増すのに対して、日本人では逆に先行する課題で失敗したと思い込まされたときのほうが、次なる課題への取り組みがより持続する傾向があることを明らかにしている。これは暗に、やる気に結びつく感情がカナダ人では成功体験に結びついた誇りであるのに対して、日本人では失敗体験に結び付いた恥であることを示唆しているようで興味深い。

 比較研究の詳細が本書には記されていないため、どういった実験だったのかは読み取れないが、日本人は誇りによりも恥に敏感なのかもしれない。恥ずかしい思いをしないために課題に取り組むほうがやる気が続くのが日本人だとすると、日本人にはポジティヴ感情はあまり合わないのだろうか。

 もう一つ、今度は「ポジティブ思考」についてみていこう。理論5自己認知/意識の項目ではポジティブ思考がパフォーマンスを高めるとは限らないとある。その理由が防衛的悲観主義の存在だ。防衛的悲観主義者とは、物事を悪いほうに考えることによって成功をする悲観主義者のことである。どうして物事を悪い方に考えることによって成功するのか。それは最悪の事態を想定して対処をしているからである。例えばスピーチをする場合、原稿をなくしたらどうしよう、頭の中が真っ白になったらどうしよう、うまくしゃべれなかったらどうしようなどと悲観主義者は考える。防衛的悲観主義の人は、これらの事態を想定して、原稿をなくしても喋れるよう記憶したり、うまくしゃべれるよう何回もスピーチの練習をする。そうして高いパフォーマンスをあげることができるようになる。

 この防衛的悲観主義者が楽観主義の考え方をした場合、パフォーマンスが下がった実験結果もある。ネガティブな人に対して「ポジティブにいこうよ!」という人たちがいるが、それは間違っている。ネガティブな人はネガティブなりに、最悪の事態を想定して、対処する術を身に着けることこそが必要で、ネガティブな人が無理してポジティブになったところで高いパフォーマンスは得られない。自分が悲観主義者なのか楽観主義者なのかを見極め、また周りの人たちがどっちかを見極め、それぞれにあった考え方をすることこそが個としても全体としても高いパフォーマンスをする上で大切になってくるだろう。

 ちなみに自分自身は悲観主義者であることが多い。最悪の事態を想定して、いろいろと考えるが、本番直前は楽観主義となり自分の気持ちをリラックスさせるようなことをする。人間とは本来、楽観的な生き物だと思う。だからこそ、こうして生きているのだと思うけれど、楽観し続けるのも無理があって、楽観と悲観をうまく使い分けることが大切なんだと感じるのである。

 おしまゐ。

本日紹介した本

パフォーマンスがわかる12の理論―「クリエイティヴに生きるための心理学」入門!

パフォーマンスがわかる12の理論―「クリエイティヴに生きるための心理学」入門!