本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

『人は皮膚から癒される』を読んだ

本日の一冊は「人は皮膚から癒される

 約一年前にも読んで記事をあげた本ですが、また読みたくなったのでもう一度読んで記事を書くことにしました。

親しい人がそばにいる

 本書は人に触れられることによってストレスが改善されるとかそういったことが書かれているが、触れる行為でなくても親しい人がそばにいるだけでも人の思考は変化するらしい。

米国の心理学者サイモン・シュナルたちは、実験参加者を傾斜のある坂のふともに連れていき、その坂の角度について推測してもらった。面白いことに、友人と一緒に推測した人は一人で推測した人に比べて、傾斜の角度を「緩い」と判断した。さらに友人による傾斜の緩和効果は友人関係が親密であるほど大きかった。

 この現象は「駅までの道のりの判断」や「痛みに耐えられる程度」などについても起こるようで、親しい人がいるだけで負担を軽減する効果がある。何か物事に挑戦するときに、友人がいれば頑張れるとかそういった感覚は、負担が軽減され小さな力で物事に取り組めるからかもしれない。

つまり、何か脅威を感じたり警戒しなければならない事態に遭遇したとき、信頼できる人といるだけで、自分一人で問題を解決するために費やす心理的なエネルギーが減り、実際に脳で消費するカロリーも減ることになる。

皮膚の温かさと心の温かさ

 親しい人がそばにいると心が変化するが、皮膚が心を変えることもある。米国の行動経済学者ローレンス・ウィリアムズとジョン・バーグが行った実験では、実験参加者を実験室に案内するエレベーターの中で、実験者がメモをとる間、持っている飲み物を参加者に持ってくれと頼む。この時の飲み物は温かい、あるいは冷たいコーヒーのいずれか。そして実験室に到着後、参加者に文章を読んで人物評価をしてもらった。するとどうなったか。

手に温かいコーヒーを持った人は、他者の人格を「親切」「寛容」だと判断した。さらに実験のお礼として「友人へのギフト」と「自分用の品」のどちらかを選んでもらうと、手を温めた人は前者を選ぶことが多かったという。

 今回の実験では手を温めたわけだが、どの身体部位でも皮膚を温めると人に温かくなるという。なぜこのようなことが起こるのか。

その理由は、脳の「頭皮質」と「線条体」が、身体的な温かさと心の温かさの両方に関与していることにある。つまり、身体的な温かさを感じると「頭皮質」と「線条体」が興奮する。これらの部位は心理的な温かさに興奮する部位でもあるため、他者に対しても温かい気持ちが高まるということになる。

 商談では、冷たい飲み物よりも温かい飲み物がよさそうだと思う反面、真夏に温かい飲み物を渡されたところで心が温まるかどうかは少し疑問だったりする。ただ身体を温めることは心を温めることにもなることは覚えておいた方がよいだろう。

 さらに米国の心理学者、アマンダ・ハーンたちが行った実験では、触れられた人の皮膚温度の変化を計測した。参加者は女性で、実験者から触れられた時の顔の温度の変化を見た。結果は、実験者が参加者の顔や首に触れた時は腕や手のひらに触れたときよりも、温度が高くなることがわかったそうだ。人に触れることは温度を高める効果もあるため、触れ合いは温め合うことと同義なのかもしれない。

 おしまゐ。

本日紹介した本

人は皮膚から癒される

人は皮膚から癒される