本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

『読んでいない本について堂々と語る方法』を読んだ

本日の一冊は「読んでいない本について堂々と語る方法

 読書にはどこか神聖な感じがあるのか、読んでいない本について語ることは良くないような印象を持ってしまう。テレビや漫画、映画などは最後まで見てないにも関わらず良い悪いと多くの人が言っている気がする。そもそも見ている人の量が違うのだからそう感じるだけかもしれないが、本書は本を読んだとはどういうことか、読んでいない本をどう語るか、そもそも読書っていいことなのかなど読書の一風変わった視点を教えてくれる。この本ですら読まずども堂々と語ることはできるだろうが、少し読んだ。

 「本を読んだ」といっても、その定義は曖昧だ。最初から最後まで一字一句逃さずに読めばそれは本を読んだことになるのだろうか。例え本の内容を理解していなくても読めば、それは読んだことになるのか。もしくは少し読んだとはどの程度のことを指すのか。逆に本を読んでいないとはどういう状況か。著者は人々は読む読まないの中間にいると言う。

われわれはたいていの場合、「読んでいる」と「読んでいない」の中間領域にいる。

 さらに、著者は本を読むことは本を読まないことと表裏一体とも言っている。

 本を読むことは、本を読まないことと表裏一体である。どんなに熱心な読書家においても、ある本を手に取り、それを開くということは、それとは別の本を手に取らず、開きもしないということと同時的である。読む行為はつねに「読まない行為」を裏に隠しているのだ。 

 時間は有限だ。だからこそ読める本には限りがある。それは本に限らず、テレビ、漫画、映画、音楽などにも通じることで、「何かをする」ことは「何かをしない」ことだ。そうして本を読まないことも大事であると著者は言うのである。

 本を読まないことも、厖大な書物の海に呑み込まれないように自己を律するための立派な活動なのだ。 

 これは現代の情報化社会に当てはまりそうだ。毎日膨大な量の情報を我々はネットを介して入手することができるが、その情報が自分にとって本当に必要かどうかはわからない。いつか役立つかもしれないからといって様々な情報を脳内に送り込むが、そのほとんどは使われないし、忘れ去られる。そうして使わない情報を脳内に入れる行為にエネルギーを使いすぎて他のことにエネルギーを費やせなかったりする。読書もまた、ただたくさん読めばいいというものではない。

 そう考えていると読書というのは無理にして行うものではないのかもしれない。どうしても読まなければならない本は出てくるかもしれないが、無理して読書をする必要性はどこにもない。いつからか読書はやらないといけないなと思うようになった。趣味の一つだったはずだが、ブログを始めてからか、一日一冊読もうと決意した日からか、どこかで読書の目的が変わってしまった。こうして読書についての本を読むことによって、自分の読書の立ち位置を振り返ることはやはり大切で、自分にとって読書は少しでもより良い生活を送る上で必要なものだと思っているが、だからといってなんでもかんでも読めばよいものではない。その時その時に必要な読書を1,2冊できればよいなと思うのである。

 そうすると、このブログも更新頻度がさらに減ってしまうなと危惧するわけで、ブログに書きたいと思う本を探すのもやめないよう励もうと思うのである。

 話を本書に戻して、訳者あとがきで非常に参考になるところがあったので少し長いが引用したい。

 日本のサラリーマンにとっては電車の中吊り広告に載っている新刊書のタイトルかもしれない。「『中年の品格』?まったく、何匹目のドジョウを狙ってるのか知らないけどさあ、こういうタイトルを平気でつけるやつこそ品格がないってんだよ」などと彼らは、酒臭い息を吐きながら、一行も読まずして怪気炎を上げるのかもしれない。いずれにしても、本がわれわれの内部にすでに書かれてあるのだとしたら、それを「読んで」いなくても何も憶することはないはずである。自信をもって語っていいのだ。

 この文章の前は小難しいことが書いてあったので割愛。とにもかくにも私たちは読んでもない本について、このぐらいのことを普通に語っていいのだ。本の批評というと堅苦しいイメージがあるけれど、このぐらいラフにいろいろと語ることができればいいと思うのだけど、適当に言うとすぐ叩く人たちが出てくるのが、今のネット社会の迷惑なところだなと思ったりもする。またアニメや漫画だと、「にわか」という言葉がよくつかわれたりして「にわかは黙っとけ」など言われて本当に困る。自分の思想以外を受け入れられない人が増えたのかネットに蔓延ってしまっているのか。つらいところである。

 おしまゐ。

本日紹介した本

読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)

読んでいない本について堂々と語る方法 (ちくま学芸文庫)