本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

『それで寿命は何秒縮む?』

本日の一冊は「それで寿命は何秒縮む?

 「損失余命」というキーワードを元にその行動がどれほどの損失なのかを解き明かした一冊。といっても後半は放射線の話が中心。著者は福島に生まれ福島で働いていた方のようで、震災後に科学的な専門知識を一般の方にわかりやすく伝える地域メデュエータとして活動されている。

 放射線の話は本書を手に取って読んでいただければなと思う。ここでは気になった損失余命についていくつか紹介する。まずは「損失余命」という言葉について。本書を読んで初めて「損失余命」という言葉を知りました。

要点だけを言うと、損失余命とは「それをすると(たとえば、食べると)おおよそ寿命がどれだけ縮むのか?」を数字で示したものです。

  たとえば煙草の喫煙1本あたり「12分」であったり、コーヒー1杯あたり「20秒

」であったりというものです。また、運動不足は一生涯で「1.78年」など年計算もあります。このような表現をする損失余命ですが、これには少し問題点があるようです。

最大の弱点は、この損失余命ではメリットについてはまったく考えない、という点です。

 デメリットをわかりやすくするためにメリットを見ないで計算しているのです。ですから、コーヒーには死亡リスクを抑える効果もありますが、コーヒーのデメリット部分だけを見ると1杯20秒という計算になるのです。ですから、本書にある損失余命を鵜呑みにしてしまうのもよくない。そもそも、喫煙1本12分だのコーヒー1杯20秒だのあるけれど、日本人の寿命は1日2時間ずつ伸びているのです。これは平均寿命の伸びを損失余命の単位に合わせて計算したものですが、こう考えることができます。

たとえば1日あたりで考えたときに2時間を超えないのであれば、それは、実際には平均寿命を短くするには至らない程度のリスク、ということになります。

 本書にはウィンナーソーセージの損失余命も載っています。1本あたり25秒という計算がされていますが、1日3本食べたところで1分15秒。それを毎日食べても1年間で7.6時間ということです。

1年間の平均寿命の伸びである30日=720時間と比べれば、伸びの1.06%を相殺するにすぎませんから、これも、それほど心配する必要はない数字だと私は思います。

 ウインナーソーセージのほかに、白いご飯の損失余命も書かれています。これらを読んでいて思ったのは、損失余命は薬と毒の話に通じるなと。薬と毒の違いは、その薬物が人間にどのような効果をもたらすかで変わります。デメリットよりメリットのほうが上回れば薬になりますし、デメリットのほうが多ければ毒になります。損失余命はメリットは見ずにデメリットだけを見ていますから、その食べ物が薬なのか毒なのかは判断できないけれど、損失余命とは逆にこれを食べればどの程度生きることができるのかという指針があればいいのだけど、そういうのはあるのでしょうか。

 まあ煙草を吸って寿命が伸びることはなさそうだけど、アルコール類は少量なら体に良いと聞きますし、そういったメリットデメリットの両方がうまく紹介されている本を読みたいなと思いました。

 デメリットだけ見てもなんとも言えませんね。

 おしまゐ。

本日紹介した本

それで寿命は何秒縮む?

それで寿命は何秒縮む?