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厚みのある本は苦手

離婚の瀬戸際は核戦争の始まり『恋愛を数学する』

本日の一冊は「恋愛を数学する

 前回に引き続き「恋愛を数学する」から気になったところを書こうと思います。今回は女をゲットするために男がするお金の使い方と夫婦の関係性について。

目次

女にお金を使わない

 今のご時世、デート代を男がすべて持つというのは富裕層にしかできないんじゃないかと思うのだけど、それでもどこかに男のほうが多く払うという意識があると感じます。時には金目当ての女もいるわけで、恋愛というのはうまくいきません。本書では「金目当ての女を避けながら女性に求愛するベストな戦略」を紹介しています。

女の子に良い印象を与えるには、男性は派手で贅沢なふるまいを見せなければなりません。お金はかかるけれど女性にとっては結局のところ価値のないものにお金をかけるのです。

 本書には例えば、巨大花火を仕掛けたり、彼女の家にフェラーリで乗り付けたりといったさすがにお金かけすぎだろというレベルのことが書かれていますが、もう少しできそうなところではディナーの後でチップをたくさん置くという行動でしょうか。日本ではチップを置く習慣がないためこのような方法はとれませんが、とにかく女性に何かを買ってあげるという行為はダメだとしています。この考えは企業が己の力を見せるためにお金をかけることと同じです。

ウォール街に並ぶ銀行の大理石の玄関や、ラスベガスの豪華な超高層ビル。そうした装いに浪費されるお金が大きく見えれば見えるほど、消費者や競争相手は、その企業にそれだけ力があると考えるのです。この理論によれば、そのほうが、同じお金を使って大勢の顧客に小さなプレゼントを買うよりもずっと効果があります。

 この理論を使えば、女性を手に入れやすくなることは間違いないでしょう。しかし、多大な費用がかかる上に、恋愛はそういったものではないと感じます。著者もこの理論をデートに応用することは賛同できないといいます。

この理論は人間の求愛行動の核心にある、なにか重要なものを取りこぼしていると思います。

 理論は時として最大限の効果を得るために強い力を発揮しますが、その理論を使うのが感情を持ったヒトであることにもっと注意を向けなければならないのでしょう。

夫婦の数学

 結婚して末永く幸せに暮らすためにはなにをすればよいのか。それにはお互いが相手に対してポジティブでいる必要があります。

パートナーのどちらも自分のことを幸せだと考えているカップルでは、悪い言動も普段と違うこととして片づけられます。「彼はいま大変なストレスを抱えているから」とか、「彼女が不機嫌なのもしょうがない。最近寝不足だから」といったふうに捉えられるのです。こんなうらやましい状態のカップルは、パートナーに対して根っからのポジティブな見解を持っていると考えられ、それは良い言動があればさらに強化されます。「素敵なお花。彼はいつも私に優しくしてくれるのよね」とか「彼女はとてもいい人だから、思ったとおりだ」とかいったように。

 逆にネガティブな関係性になると「彼はいつもこうよ」「わがままな女だな」などになってしまいます。そして良い行動に対してもネガティブな反応になってしまいます。例えば「給料があがったからって良い気になって」や「何かしてほしくてこんなことをしているのだろう」とかいうふうに。これは夫婦間のみならず人間関係すべてに当てはまります。ポジティブに見ている人にご飯をおごってもらえたら「なんて優しい人なんだ」と思うでしょうし、ネガティブに見ている人におごられたら「奢ってくるなんて何か裏があるに違いない」と疑念を抱くでしょう。

 このポジティブとネガティブの関係性を数式にするとこうなります。

  W{\scriptstyle t+1}=w+r{\scriptstyle w}W{t}+I{\scriptstyle HW}(H{t})

  H{\scriptstyle t+1}=h+r{\scriptstyle h}H{t}+I{\scriptstyle WH}(W{t})

 最初見たときはこんな数式理解できないよと思いましたが、非常に丁寧に説明がなされているので、それをそのまま引用することにします。

この規則は、会話の中で夫婦それぞれが次に発する言葉が、どれくらいポジティブ/ネガティブになると期待されるかを予測するものです。

 ひとつ目が妻の側の数式です。この規則の仕組みを細かく見てみましょう。数式の左側は単に、妻の次の発言が、どれだけポジティブ/ネガティブかということです。妻の反応は、全般的な彼女の気分({w})と、夫と一緒にいるときの気分( r{\scriptstyle w}W{t})、さらにここが重要ですが、夫の行動が彼女に及ぼす影響( I{\scriptstyle HW})によって決まります。数式の最後の H{t}がかっこの中に入っているのは数学の省略表現で、夫から妻への影響は、夫の直前の言動によるという意味です。

  2つ目の式は夫の側の式で、同じパターンです。この数式をグラフに当てはめると以下のようになります。

http://i.imgur.com/RBBxQS2.jpg

引用:TIL A mathematical equation that can accurately determine whether a married c... | Rebrn.com

 これまた初めて見たときには理解できなさそうだなと思いましたが、懇切丁寧な説明で一応は理解できました。余談ですが数式をブログで書くのって大変なんですね。数式を書いてるだけで混乱してきたのでここからはローマ字表記で書いていきます。

 夫(Ht)が妻に与える影響(IHW)を例にしているこのグラフは、IHWの軸の高いところに点線がある場合は、夫は妻に対してポジティブな影響を与えることを意味しています。逆に軸の低いところに点線がある場合はネガティブになります。まず夫がポジティブな反応を示していきます。そうしてT+までくると、夫はさらに良い行動をします。すると、妻に大きな影響を与え、妻もポジティブな反応をするという感じです。

 逆に夫が少しでもネガティブになると、妻もネガティブになっていくということです。グラフを見てわかるとおり、T+とT-の上り幅、下げ幅に違いがあるのに注意が必要です。これは研究でカップルを観察した結果として意図的に非対称性が取り入れられているそうです。

 さて、これらの数式やグラフを作成し、カップルの観察をしてきたことによってあることがわかってきました。

さて、私は常々、良い人間関係には妥協と理解が肝心と考えていました。ですから、私だったら、ネガティブの閾値をうんと高いところに保とうとするのが最善だろうと予想したでしょう。普段はパートナーを自由にさせておき、本当に重大なときにだけ問題提起する、そんな人間関係が良いだろうと。

 ところが、真実は正反対だと研究チームは明らかにしたのです。

 ネガティブの閾値がとても低い人たちのほうが、人間関係がうまくいっていました。そのような人間関係では、カップルは互いに不満を出し合い、日頃から小さな問題を修復するよう、一緒に努力します。この場合、カップルは感情を押し殺したりせず、些細なことがきっかけで均衡を失い衝突してしまうこともありません。

 時としてネガティブになることは誰しもありますが、そのネガティブを引っ張り続けてはいけなくて、そのネガティブをどうにかポジティブ、もしくは0にする努力をすることが大切であるということでしょう。

 いつも言い争いをしている夫婦はネガティブな反応をお互いに示しているかもしれませんが、ポジティブに向けてコミュニケーションをしていると考えれば、長続きするのも理解できます。逆に不満を言わずに我慢をし続けて、ある時その限界を突破してしまうと破局の道しかないのです。

 さきほども書いたけど、これは夫婦間だけでなく人間関係全般に言えることなので、ぜひ覚えておきたいところです。この数式は非常に面白いなと思い紹介しましたが、紹介しようと思ったもう一つの理由があります。それはこの式がほかの関係にも使えるということです。

ここでひところ触れておきたいと思いますが、この式はそのまま、軍拡競争を続ける2国間で起こる事態をうまく記述した式でもあります。ですから、口論によって負のスパイラルにはまっていき、離婚の瀬戸際にあるカップルというのは、実は核戦争の始まりと数学的に等価なのです。

 一見関係性のない二つの事象も、一つの数式で表現することができる。このような面白さがあるのが数学の醍醐味なのかなと思う今日このごろです。これから離婚の危機にあるカップルを見かけたときは、核戦争の始まりか。。。と思うようにします。

 おしまゐ。

本日紹介した本

恋愛を数学する (TEDブックス)

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