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厚みのある本は苦手

カフェイン依存症について『カフェインの真実』

本日の一冊は「カフェインの真実-賢く利用するために知っておくべきこと

 昨日に引き続き「カフェインの真実」を読んだ感想を、今回はカフェインと依存症の視点から書きたいと思う。

目次

薬物としてのカフェイン

 薬物の専門家であるローランド・グリフィスはカフェインについても研究を行っている。グリフィスによるとカフェインに依存することはあるという。

どの文化でもカフェインは乱用薬物とは考えられていないが、実際には乱用薬物の条件をすべて備えている。「つまり、気分を変え、身体的依存を生み出し、使用を中止すると離脱症状(禁断症状)を引き起こし、依存状態になる人も出る」とグリフィスは説明してくれた。

 乱用薬物の条件を満たしているのに乱用薬物とはみなされていないカフェイン。なぜカフェインは乱用薬物に入らないのかは、やはりお茶やコーヒーに含まれており日常的な薬物になってしまったところにあるのだろう。しかし、このカフェインによる影響はアメリカ精神医学会が定めるDSM精神障害の診断と統計の手引き)にも載っている。

2000年に改定されたDSMでは、カフェイン誘発性障害が4種類掲載されている。「カフェイン中毒」と呼ばれている障害には、落ち着きのなさ、神経過敏、不眠、胃腸障害、散漫な思考や話し方、心拍数の増加といった症状が含まれる。(中略)

2013年に改訂されたDSM-5では大幅な見直しが行われ、「カフェイン離脱」が記載された。これでカフェインも、離脱症状が特有な徴候だとDSMが認めているコカインやニコチン、アヘンなどの薬物と同等に扱われれることになった。カフェインの離脱症状と診断するには、カフェインの摂取中止や摂取量の減少に伴う頭痛、疲労感、イライラ、うつ状態、吐き気、筋肉痛などの症状が認められることが必要である。

 薬物専門家のグリフィスはさらに「カフェイン依存」も加えるよう学会に働きかけているそうだが、過剰診断される心配もあり、カフェイン依存が載るのはまだまだ先だろう。そもそもカフェイン依存が認められたらどれだけの人がこの依存に当てはまってしまうのか、それが不安なところだ。

 ところで、カフェインの摂取をやめた場合に、頭痛や疲労感などの症状が出た場合は「カフェイン離脱」と呼ばれるわけだが、それはいわゆる依存しているからこそそのような症状が出るのではないかと素人は思ってしまう。グリフィスは依存症をこのように説明する。

「核心となる基準は、やめたいと思っているのにやめられないことと、心身のいずれかに問題が起きているのにやめられないことだ。この両方の基準を満たせば、依存症だと言えると思う。つまり、やめなければならない理由があり、やめたいと思っており、やめようとしたのにやめられないのであれば、それは依存症だ」とグリフィスは話した。

 ただし、アヘンやアンフェタミンなどの乱用薬物とは異なり、カフェインは治療なしにでも自然に治る性質があるのが他の依存症とは異なる点だという。これはタバコのニコチンも同じで、だからこそ嗜好品としてコーヒー(カフェイン)やタバコ(ニコチン)が広まっているのだろう。

 こういったカフェインと依存の関係性に否定的な研究もいる。サリー・セイテル博士は「コーヒーの飲用は、生活に深く根差した習慣に近い」と表現している。しかし彼の研究に助成金を出しているのはカフェインの規制に反対している教会である。しかもカフェインによる離脱症状の対処法を付け加えていることもあり、彼の主張は説得力を素なっていると本書でばっさりと切られている。

 対してカフェインと依存の関係を探求するグリフィスは論文にカフェイン離脱による症状はコーヒー1杯のカフェイン摂取をやめるだけで起こると記している。しかも被験者の半数が頭痛、13%が苦痛や機能障害を訴えたと述べている。以下は極端な話ではあるが、カフェインの広まりがどの程度あるのかがわかる。

明日は誰もカフェインを摂ることができなくなったり、アメリカ禁煙の日(11月18日)に倣って、「禁カフェインの日」が制定されたりしたと考えてみよう。そうすると、毎日カフェインを摂っているアメリカ人は人口の80%前後に上るので、1億2500万人が頭痛を訴え、カリフォルニア州の人口にほぼ匹敵する3200万人の人がひどい肉体的苦痛や機能障害に見舞われることになるのだ。

 日本人の場合、2013年のアンケートで6割が毎日コーヒーを飲んでいると答えている。とすると少なくとも3600万人の人が頭痛を訴えることになる。まあ極端な例なのであまり鵜呑みにしないほうがよいと思うが、カフェインによる依存、そして離脱症状には注意したほうがよいだろう。

 このような論文、そしてDSMにまでカフェインの悪影響が記されているのに、規制はおろかコンビニにはコーヒーがたくさん置いてあるし、エナジードリンクも多く普及している。全人類がカフェイン依存になる日もそう遠くないかもしれない。

 おしまゐ。

本日紹介した本

カフェインの真実-賢く利用するために知っておくべきこと

カフェインの真実-賢く利用するために知っておくべきこと