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睡眠不足がもたらすものと夢の役割『眠っているとき、脳では凄いことが起きている』

本日の一冊は「眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密

 サブタイに眠りと夢と記憶の秘密とあるように、「眠り」「夢」「記憶」をキーワードに睡眠を読み解く一冊。睡眠不足になるとどうなるのか、夢はなぜ見るのか、一晩眠ると記憶は定着するのかなど寝ることの意味を教えてくれる。

目次

 

睡眠不足がもたらすもの

 睡眠不足になると頭はぼーっとしてしまうが、研究で睡眠不足は体に様々な不調をもたらすことがわかっている。

睡眠不足がストレスホルモンのコルチゾールを増やし、体温を少し下げ、免疫機能を低下させることがわかってきた。

 さらには五感にも影響を与える。

第一に、睡眠不足になるとにおいの種類を嗅ぎ分ける能力が落ち(バラの香りかラベンダーの香りかわからない)、酸っぱい味に気づきにくくなる。聴覚も少し損なわれ(ふたつの音がどちらが先に聞こえたかの判断が難しくなる)、視覚にもちょっとした問題が生じる(右側の視野に入るものに、より強く注意を払うようになるようだ)。

 また、1965年にランディー・ガードナーが行った11日のあいだ一睡もしない実験では、身体の影響よりも精神面で多くの不調が報告されている。

睡眠不足になると不機嫌、幻覚、妄想、記憶力の低下、集中力の不足、決断力の欠如につながる可能性がある。

 睡眠不足は身体面と精神面の両方に問題を生じさせることがわかっているのに、現代社会では多くの人が睡眠不足に陥っている。睡眠不足によって日中、睡魔に襲われることがあるかもしれない。その時には寝るのが一番だが、カフェィンをとって乗り越えようとする人が多いと思う。しかし、このカフェィンでどうにかなるのは「注意力」と「慎重さ」で、「疲労」には効果がないようだ

コーヒーを飲めば注意力と慎重さは増すかもしれないが、知的および道徳的判断に影響を与える疲労の問題は、カフェィンでは解決できない。

 この知的および道徳的判断というのは、脳の報酬系と懲罰系の話であり、睡眠不足時には、チョコを食べる、性行為などで活性化する脳の領域は強くなる反応する一方で、つらい状況や大切なものを失うなどのマイナス面のときに反応を示す脳の領域はあまり反応が起きないようだ。つまり睡眠不足の時は危険をかえりみない行動をとりやすいということになる。睡眠不足でついやってしまわないよう気を付けなければならない。

 現代社会は仕事に加えて多くの誘惑が存在している。これらに打ち勝ってただ寝るというのは難しいのだろうか。寝ることの大切さをもっと知ってほしいと思うばかりだ。

夢の意義

 人は夢を見る。ではなぜ夢を見るのか。多くの理論があるようだが、本書では「脅威シミュレーション仮説」について取り上げている。

脅威シミュレーション仮説は、夢は一種の仮想現実シミュレーションで、たとえあとで夢のことを覚えていないとしても、そこで身を脅かすような状況のリハーサルをしているのだとする。このリハーサルは現実世界での反応を向上させるだろうから、適応にとって意味をもつ。この説を支持する証拠は、夢の大部分に脅威を感じる状況が含まれること(70パーセント以上を占めるとした研究もある)、そしてその割合は夢を見る本人が昼間の実際の暮らしで脅威に出会う割合よりはるかに高いことに見られる。

 夢の中で私たちは脅威にどう立ち向かえばよいのかシミュレーションをしているということだが、それにしては火事だの事故だの嫌な夢をよく見るものだ。最近は見なくなったが、一時期親が亡くなる夢をよく見た。これも本当に親が亡くなった時に早く適応できるようにするためのシミュレーションだったのかもしれない。実際に、離婚した女性の夢を調べたものでは、別れた夫の夢をよく見た女性のほうが離婚に順応したという報告もあるらしい。

 悪夢を見るのは、その嫌なことが目の前に起きた時にうまく適応するためのものだとすれば、夢の中でも脳は生きるために活動しているということになる。脳に休まる暇などないようだ。

 といっても、ほとんどの夢は、起きているあいだの出来事の断片をつなぎあわせたものになっているらしい。車によく乗る人は車に乗る夢を見たりということだろう。でもパソコンを常日頃から触っているのにパソコンが出てくる夢をあまり見た記憶がないのだが、覚えていないだけでパソコンの夢を見ているのだろうか。気になります。

記憶

 わざわざ見出しをつけるほどの文章は書いていないのだけれど、他の話題とはやはり分けたいので見出しにする。

 とりあえず気になった一文を引用しよう。

短い昼寝であっても、たとえ6分という短い昼寝でも、睡眠は記憶を助ける。

 6分の昼寝をできるかは置いといて、数分寝るだけでも記憶の定着や整頓を助けてくれるらしい。もし多くのことを学んだ日があるのならば、その日は早く寝た方がよさそうだ。一晩寝て考えることはとても良いアドバイスだが、寝れば解決するわけではないし、そのメカニズムはまだ分かっていないのが心配なところだが。

快適睡眠法

 睡眠不足は体に不調をもたらすから寝ろよと言うだけでなく、この本の最後の章には快適睡眠をするための方法がいくつか紹介されている。まずは寝室の話。

眠りに最も大きな影響を与える要素のひとつは、ベッドと寝室の実際の感じ方だ。快適で、照明が明るすぎず、睡眠をとるための場所になっている必要がある。(中略)横になってテレビを見たり、ノート型パソコンを操作したり、ラジオを聴いたり、本を読んだりしているベッドでは、脳に適切な信号を送れない。この種の多目的なベッドでは、横になると逆に目が冴え、眠りにつくのを妨げられることもある。

 とても心に刺さる文章。いつも寝る前はベッドに横になりながら本を読んでいるのだが、ベッドに横になったらすぐ眠ることができるよう、ベッドは寝るためだけの場所にする必要があるらしい。確かに、面白い本を読んだ時は、その話を思い返して中々眠れない。逆につまらない本の時はすぐ本を閉じて眠れるわけだが。

 とすると、寝る前に本を読む場合はベッドの上ではない違う場所を用意する必要がありそうだ。パソコンの前の椅子に座って本を読むのもよいが、それだと寝る前までパソコンの前にいることになって、ついパソコンに触ってしまいそうだから本を読むためだけのスペースが欲しいところだ。前は小さなテーブルがあり、そこが勉強スペースだったので本もそこで読んだりしていたが今はない。どうにか読書スペースを確保するのが課題かもしれない。と言いつつ昨日もベッドの上で読書をしていた。

 快眠法でほかには音について取り上げている。完全な無音を作り出すことは難しい。だから、あえてノイズを出しながら寝ることを推奨する専門家もいるらしい。

睡眠の専門家の多くはピンクノイズやホワイトノイズなど(両方ともラジオの周波数がどの放送局にも合っていないような音)の継続的な弱い妨害音を利用して、外部の音の影響を和らげることを推奨している。

 寝る前は落ち着いた音楽を聴いて眠りについていて1時間で切れるようにしているのだが、この妨害音はつけっぱなしでよいのだろうか。

 ほかにも食べ物、室温、香り、体内時計などについても紹介されているので快眠したい方は読んでみてはいかがだろうか。睡眠の本の中でも夢や記憶について図を用いて説明しているところもあるので、とても読みやすかった。おすすめです。

 おしまゐ。

本日紹介した本

眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密

眠っているとき、脳では凄いことが起きている: 眠りと夢と記憶の秘密