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本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

『子どもはテレビをどう見るか』を読んだ

教育

本日の一冊は「子どもはテレビをどう見るか: テレビ理解の心理学

 タイトルに心理学とあったので読んでみました。本書では子ども観察例+大学生による子供時代の回想+高齢者の間違い方の事例を3本柱として、子供はテレビをどう見ているのかについて考察されたものです。

 高齢者の間違い方については、テレビに映っている相撲を近くでやっていると勘違いして今から見に行ってくると出かけようとする方や、黒人をテレビで見てお風呂に入ってないんだなと勘違いする方など、テレビの知識はもちろん、他の知識も欠けているから間違えているのではと思ったりして、高齢者の観察をどう捉えていいものかと疑問に思います。

 本記事ではタイトル通り子どもはテレビをどう見ているのかについて3つほど気になる意見を紹介します。

 

子どもとザッピング

 ザッピングとは頻繁なチャンネルの切り替えのことを言う。著者はこのザッピングの行為を、恋愛小説を1ページ読んだら推理小説を1ページ読むという表現をしていますが、まさにそんな感じで、テレビをつけたらニュースがしていたのでチャンネルを変えたら今度はお笑い番組、それも面白くないから変えたら野球中継とチャンネルをころころと切り替えることをザッピングと言うわけだが、このザッピングは子どもにどのような影響を与えるのだろうか。

 ザッピングの心配な点は、番組を最後まで見ないことです。番組の最後にはエンドロールがつきます。誰が何の役をしているか、音楽は誰の曲か、衣装の提供はどこがしているかなどを書いています。(中略)

 つまり、番組を最後まで見れば、人間が作ったものであることはわかるようになっています。文字が読めれば、虚構と現実の区別はつくはずです。ザッピングをし始めると番組を最後まで見なくなるため、エンドロールを飛ばしてしまいます。子どものうちに、番組を最後まで見る体験をさせる必要があると言えます。

 ザッピングは虚構と現実の区別を妨げる行為だそうです。本書の例えでは、刑事物では人を殺すシーンがありますが、殺し方を教えているわけではなく、悪いことをすれば捕まって罰を受けるということを教えてくれます。これは人を殺すシーンだけを見ただけではわからないし、犯人を暴くシーンだけを見てもわかりません。最初から最後まで見てこそわかるのです。そして、最後にエンドロールを見て、人が作ったものだということをきちんと理解して見終えるのがよいそうです。

 ザッピングがどのような影響を与えるかについて調査などは書かれていませんが、テレビというものは短く切った映像をつなげてイメージを作っており、一部分だけを見ていただけは間違った印象を受けてしまう可能性があるため、ザッピングはしないほうがよいそうです。

視聴者はラブストーリー的スポーツ番組やバラエティ的殺人事件、お笑い政治討論会を見ている可能性があるのです。

 まあこの表現はちょっと言いすぎな気もしますけれど、そう考えると途中からテレビを観るのではなく、自分が見たい番組を自分が見たい時に見られる動画視聴のほうが子どもにはよいのかもしれません。 

幼児とテレビ反応

 テレビ視聴と幼児の研究はあまり報告がないのか著者は自分の子どもを家で観察した事例を本書で紹介しています。1989年の調査でこの時代は静かな部屋で育てるべきだと考えられていたため、調査が難しかったようです。今も難しいのかな。

 この観察事例では、生後三か月から「おかあさんといっしょ」と「みんなのうた」を見せました。生後三か月から微笑や発声をしてテレビに反応したようです。1歳0か月ごろにはテレビのスイッチを押したり、つけたりして見ていたと報告しています。

 特に気になる報告は1歳3か月ごろの行動です。

 この日、「みんなのうた」が終わるとテレビのスイッチを切りました。普段、この番組が終わるとテレビを消しているからです。視聴習慣がついていることがわかります。 

 早すぎる習慣かもしれませんが、テレビをつけっぱなしにしないことの大切さを感じる報告だと思います。何気なくテレビをつけた生活をしていると、テレビがついているのが当たり前の生活になります。テレビを観続けることはよくないとされていますし、実際に成長が遅れるなどの研究結果もあるようですから、テレビは番組が終わったら消す習慣を小さいうちにつけると良さそうです。

サザエさんをどう見ているのか

 アニメは子どもにも受けがよく、わかりやすいと言われる一方で、難しい作品もあります。本書ではサザエさんを用いて幼児のアニメ視聴を考えています。

 その中で、回想シーンの理解はとても難しいとしています。例えば、現在のシーンから前日の夜のシーン、そしてふたたび現在のシーンに戻る場面があるとするとします。この時、幼児は前日の夜とは理解していないようです。

 しかし幼児は児童は違います。彼らは、現在のシーンの次に夜のシーンが来ると、その日の夜と解釈してしまいます。そして、ふたたび昼のシーンになると次の日の昼と誤解してしまうのです。(中略)

 なぜ、幼児・児童は、このような間違いをするのでしょう。それは、ふだんの生活経験から、次の日になったと考えるためです。

 時制の間違いについては大学生の子ども時代の回想では、主人公が自分の幼少期を思い出すシーンに変わるとドラマが変わってしまったのかと母に聞いた事例や、ぼかしをする演出を見てテレビが故障したのかと母に聞いた事例などが挙げられていて、理解がきちんとできていないことがわかります。

 学校で時制を取り上げるのは小学4年生からのようで、「ごんぎつね」で回想シーンが初めて出てきます。文法として過去形・未来形を学ぶのは中学2年生ですし、時制を理解するのは子供にとって非常に難しいらしい。

 普段何気なく回想シーンを見ている大人たちですが、子供にとっては非常に困難な演出だったようです。

 以上子どもはテレビをどう見ているのかについて、気になる3つを紹介しました。子どもはテレビをまじまじと見つめていますが、その内容をきちんと理解しているのかは怪しいということですね。ザッピングをせず、番組は最後まで見せて終わったらテレビを消す。覚えておきたいです。

  おしまゐ。

 本日紹介した本

子どもはテレビをどう見るか: テレビ理解の心理学

子どもはテレビをどう見るか: テレビ理解の心理学