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『あなたはなぜあの人の「におい」に魅かれるのか』を読んだ

本日の一冊は「あなたはなぜあの人の「におい」に魅かれるのか

 前回に引き続いて、同書の気になる章をピックアップ。今回は第5章 においと官能性から、本書のタイトルにもある「なぜあの人のにおいに魅かれるのか」を見ていこうと思います。

目次

MHC遺伝子

 人には指紋のように人それぞれ違う独特なにおいあります。それらを決定するのがMHC遺伝子と呼ばれるものです。

ヒトの免疫系は主要組織適合抗原複合体(major histocompatibility complex MHC)という遺伝子の集まりによってコードされています。

 このMHC遺伝子によって決定する「におい」が、魅かれる「におい」となるようです。実際に、スイス・ベルン大学の動物学者クラウス・ヴェデキンドのグループは女性たちがどの男性たちがセクシーに感じるのかを体臭を嗅いで選ぶように頼む実験・検査を行いました。この研究では、男性は48時間の規制を受けます。例えば、飲酒やたまねぎを食べる行為、あとはセックスをすることを避けるようにと指示されています。また、男性の匂いをつけるためにコットンのTシャツを二晩身に着けて就寝したものを検査に使用しています。

 このように四十八時間規制を受けたあと、Tシャツが回収され、均一の段ボールの箱にそれぞれ収められました。女性は一人ずつ六つの箱から出るにおいを嗅ぎ、どの箱(つまりTシャツ)を最もセクシーで最も快感に感じるのかを指し示すように求められました。これら六つの箱のうち、三つには彼女と同じMHC遺伝子の男性のTシャツが入っていて、もう三つには異なる遺伝子の男性のTシャツが入っています。

 ヴェデキンドは女性たちが選ぶ最もセクシーで最も快いにおいのするTシャツはいつでも、MHCタイプが彼女たちとは最も異なる男性たちのものでした。

 この結果から、人は本能的に自分とは異なる免疫系の持ち主をパートナーに選ぶということです。それは免疫学の観点から見ると、補い合う利点があるからだと言います。このMHC遺伝子の体臭は人それぞれ違います。よって、A子が良いと感じるG君のにおいも、B子さんから見れば全く良いと感じないということです。

ピルとにおい

 しかし、ヴェデキンドが明らかにした事実はまだありました。

 避妊用ピルを摂取していない女性のみが「異種」のMHCをもつ男性の体臭に、最も性的な魅力を感じるということです。

 逆に考えると、避妊用ピルを摂取している女性たちが最もいいにおいがすると選ぶ男性は、MHCがその女性と類似しているのです。これでは免疫系が同じ同士がくっついてしまい、免疫学の観点からでは納得のいく説明がつきません。では、どの観点から見れば納得のいく説明ができるのかというと、ホルモンと妊娠です。

避妊用ピルはホルモンを操作して妊娠の状態にさせますが、妊娠中の女性は脅しや危機には一段と敏感になっています。保身のためには、見知らぬ人といるよりは家族の構成員の周りにいた方がずっと安心なのです。そのために、妊婦あるいは「ホルモン的に妊娠している」女性たちはもっと保護してくれる男性(互いの遺伝子が似ている)を求める生物学的な性質があります。

 ということは、避妊用ピルを摂取していた時に良いにおいと思っていた男性のにおいがピルを摂取していない時に、あれ?良いにおいじゃないな?と思うことができればいいということだろうか。

思い返せば

 話は少し脱線するけれど、私の友人の一人にとても体臭が合わない人がいます。その人は一人暮らしをしていたのだけれど、その人の部屋に入ると鼻が違和感を訴え始めます。といってもその部屋にいられないわけではないので、ちょっと体臭がきついのかな程度に思っていたのですが、どうやらこの不快なにおいは私だけが感じているようで、もしかしたらMHC遺伝子が似ていたのかもしれません。だから、良いにおいと感じなかったと思われます。

LGBTのにおい

 最後に性行為を快楽を考える場合に、MHCの理論は当てはまるかどうかを見ていきます。そのためにLGBTの人に行った研究を見てみましょう。

 モネル化学感覚研究所が行った最近の研究から、ゲイの男性はストレートな男性や女性のどちらの汗のにおいよりも、ゲイの男性の汗のにおいを好むことが見つかっています。

 このことから、異性愛と同性愛では、脇の下のにおいに違いがあることがわかります。といっても、どのように違うのかはこの本には書いておらず、これからの研究を期待したいところです。

 おしまゐ。

本日紹介した本

あなたはなぜあの人の「におい」に魅かれるのか

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