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本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

「世界記録はどこまで伸びるのか 」

科学 身体

本日の一冊は「世界記録はどこまで伸びるのか

 2011年に書かれたもので、人間が決して超えることのできない極限点「パーフェクション・ポイント」を特定しようとする本。人間がどこまで速く走れるか、泳げるか、息を止められるかや、ゴルフやバスケ、マラソンの極限点などを今までの世界記録や人間の筋肉の構造から読み解いている。はじめにに書いてある「それでも限界は存在する。存在するはずだ。-少なくとも、人間がまったく新しい種に進化しないかぎり。」とあるように人間には必ず限界がある。その限界をこの本は教えてくれる。ここでは私の好きな陸上競技に注目したい。

どこまで速く走れるか

 今年、2016年にはリオ五輪が開催されました。100m男子ではウサイン・ボルトが9.81で金メダルを獲得しましたが、100m男子の世界記録は2009年にウサイン・ボルトが出した9.58。人間はこの先、この9.58を越えることができるのでしょうか。統計的手法を用いて複数の専門家が計算した結果。ある数字が出ている。

一般に、今後250~500年のうちに9秒44という上限に達するだろうと考えられている。

 この統計的手法の信ぴょう性が高い理由は複数の専門家が個別に計算しても一致している点、統計モデルが世界記録の更新過程を正確に予測している点がある。さらに3つ目の理由が、私がなるほどと感じた計算で、それは100mのうち10mごとのスプリットタイムが出るそうで、このスプリットタイムから10メートルごとの最も速いタイムがわかります。これら10メートルごとの最速タイムを1本目から10本目まで足すと9秒44。この10メートルごとの最速タイムは3本目まで紹介されている。

たとえば、スタートから最初の10メートル(スタートの反応時間を含む)の最速記録は1秒69。1991年の世界陸上東京大会でレイモンド・スチュワート(ジャマイカ)がマークした。

スタートから2本目の10~20メートルは、1999年の世界陸上セビリア大会でブルニー・スリン(カナダ)が出した1秒。

3本目の20~30メートルは、同じ1999年にストックホルムモーリス・グリーン(アメリカ)が出した0秒89が最速だ。

 こうして最速タイムを合わせると9秒44だそうで、これが極限点になるのかと思いきや、ウサイン・ボルトの登場によってこの統計モデルの信ぴょう性は崩れた。ボルトが現在の世界記録を出す前、2008年の北京五輪の結果だがボルトは100mを9.69で走った。この9.69という記録は2030年まで達成できないはずだった。これにより、人間はもう少し早く走れるかもしれないと考えられている。

 そうして新たな統計モデルで計算した結果、この本に書かれている100mのパーフェクション・ポイントは8秒99。本当にそんなことが可能なのかと思うけれど、この本を読めば不可能じゃないだろうと思えるだろう。

 リオ五輪の400mリレーでは日本が堂々の銀メダルを獲得。タイムは37秒60で日本新記録、アジア新記録、国別では世界3位の結果。このタイムもまたいつか越える日本人が現れるのかと思うとわくわくがとまらない。2020年には日本五輪がある。100mでも、400mリレーでもないかもしれないけど、新しい記録が日本で生まれればと思う。

おわりに

 エピローグには、極限点を探すことについてこう書かれている。

決して到達できないのなら、どうしてわざわざパーフェクション・ポイントを探すのか。

それが目標となるからだ。

 息を止められる時間の極限点は14分47秒、50メートル自由形は18秒15で泳ぐ。そんな本当に可能なのかと思えるような数値を論理的に説明してくれるのがこの本。書かれていることが本当に極限点なのか、そもそもその値に到達する人間が存在するのか分かるのはまだまだ先であろうし、限界に達してしまった人間はその後どうなってしまうのだろう。

 おしまゐ。

本日紹介した本

世界記録はどこまで伸びるのか

世界記録はどこまで伸びるのか