本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

公開30周年よりもバルスはちょっと。 『もう一つの「バルス」』

本日の一冊は「もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代-

 スタジオジブリで制作進行をしていた方の本。2016年1月に地上波で「天空の城ラピュタ」が放送されました。2016年はラピュタにとって公開30周年という節目でしたが、地上波では30周年という言葉はあまり使われず、代わりに「バルス祭り」というキーワードが賑わいを見せました。バルス祭りとは、ラピュタの中で「バルス」と言うシーンがあり、そのタイミングに合わせてネット上で「バルス」と書き込みこと。主にTwitterで盛り上がりを見せ、実際に2人がバルスといった瞬間は、5万5000のバルスがネットに書き込まれたと本書には紹介されています。

 著者はこの天空の城ラピュタが公開30周年にもかかわらず、その言葉が重要視されないことに少し不満を持っているようで、この本を書くことによってバルスという言葉や「天空の城ラピュタ」がどのような経緯で生まれたのかをみんなに知ってほしいと考えているのかもしれません。

フラップターを作った人

  ラピュタを最初から最後まできちんと見たことがない私ですが、本の内容はどこも面白く、著者と宮崎駿監督の対話は非常に印象的でラピュタがどういう作品であるかを感じ取ることができます。たとえば、ラピュタにはフラップターと呼ばれる飛行機が登場しますが、これを作った人のキャラクター画が存在してたそうなんです。

 宮崎さんがCパートの絵コンテ作業に入ってしばらくした時のこと。タイガーモス号のドーラの部屋にシータが案内されたあたりのシーンを描いていた。

 「木原君、この人どう思う?」

 そう言う宮崎さんの手には、1枚の絵コンテがあった。

 しかも、絵コンテ用紙をセロハンテープで貼ってわざわざ1枚に繋いである。

 その1コマに、まだ18歳だったころの、若くて痩せているドーラの写真が小さな額縁に入っているのだが、その手前に知的な顔立ちの男性が椅子に座って笑みを浮かべている。

 「誰です?この人」

 (中略)

 「この人がフラップターを作ったんです」

 (中略)

 「じゃあ、どういう人なんですか?」

 「この男は神父で科学者で、色んなことを研究している最中に、18歳頃の若いドーラにその才能を見込まれて、かっ攫われたんです。それで、あたしのために働きな、とドーラに言われて作ったのがフラップら―なんです」

「もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代」より

  このようにフラップターを作った人の絵コンテを書いていた宮崎監督ですが、中盤以降から新キャラが登場するのはありえないと考えていたそうで、絵コンテは書いたものの、ラピュタ本編には登場しないそうです。こんな感じのラピュタ制作裏話が載っていて非常に楽しめるのがこの本です。といってもラピュタ関連の本は色々出ていると思うので、即出の話ばかりかも。それに30年前の話をここまで鮮明に覚えていられるのかという疑問も少しあったりします。それでもラピュタの世界観を知るには良い一冊ですけどね。

 非常に面白い話がたくさん載っているのですが、ラピュタ本編をきちんと見ていないので、所々なんの話をしているのだろうというところがありますから、この本を読むときは、まずラピュタ本編を見直してからがよいですね。今度地上波でラピュタが放送されたときに、再読したいと思います。いつになるかな。

 おしまゐ。

本日紹介した本

もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代-

もう一つの「バルス」 -宮崎駿と『天空の城ラピュタ』の時代-