本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

出る杭は打たれる  『政治家の殺し方』

政治家を殺すのに刃物はいらないのである

 

本日の一冊は「政治家の殺し方

 

いつもは本の表紙をトップに持ってくるのですが、この表紙がなかなか衝撃的というか、非常に見ていて心がざわざわするので まずその旨を伝えておこうかと。

 

ではどうぞ。

 

 

 

表紙のデザインもうちょっとどうにかならないのだろうか。新書サイズに顔がどんっとあると気が滅入ることを知りました。イケメンならいいのだろうけど、いやイケメンでも輪切りになっていたらやはり心がざわざわしそうなんですけど。

 

表紙の話は置いといて、タイトル「政治家の殺し方」とあるように、前横浜市長である中田宏氏が週刊誌にいろいろと掻き立てられ、面倒なことに巻き込まれ、政治家を殺すにはスキャンダルが一番だという話がまとめられた一冊。

 

簡単に言うと、横浜市が赤字だったから市長になって経費削減、癒着撲滅なんてしていたら、利権大好きおじさん達に仕返しされたって話。

 

出る杭は打たれる

 

中田宏氏が横浜市長になったのは2002年4月8日

 

どうしても政治の世界で新しいこと、いわゆる構造を変えようとすると、それまで蜜を吸っていた人たちは阻止しようとする。新人政治家は構造改革などそんなことできないけど、市長などの権力があれば、メスを入れることができるのだ。そうして横浜市にメスをいれたのだけど、反対派から嫌がらせがたくさん来ちゃったと言う。

 

少し前に大阪府の橋本知事と週刊誌の間でひと悶着あったし、小泉元首相もスキャンダルがあったが、それでも政治家として手腕をふるった。著者もまた負けじと手腕をふるったのだろうが、やはり二人の存在感は大きいようで、橋本知事や小泉元首相と何が違うのかと考えた。

 

自分を小泉元首相や橋本知事と一緒にするほど自惚れてはいないが、自分を客観的に見て考えると、私は中途半端な存在だったのではないかと思う。小泉元首相や橋本知事は「出る杭は打たれても出る」という感じだし、もはや「出過ぎた杭は打たれない」という域にまで突き抜けるほどの存在になっている。

 

この中田宏氏が横浜市長になったのは37歳という若さ。小泉さんや橋本さんとは経験の差があったのかもしれない。しかも、この若さで横浜市に手を出したのだから、それまで甘い蜜を吸ってきたおじさんたちはなんだこの若造はと恨まれたことだろう。

 

話は少しそれますが、37歳という若さで市長になり、スキャンダルをでちあげられたという話を聞くと、ある人物を思い出します。

 

それは藤井浩人氏。知らない人に説明すると、岐阜県美濃加茂市長なのだが、初当選は28歳という若さ。そして、その後収賄疑惑が取り上げられ、マスコミも大々的に報じた。しかし、この疑惑の件に関して名古屋地裁は藤井市長に無罪を言い渡している。が、そんなことを知る人はあまりいないだろう。(私も報道は耳にしたがその後無罪になっているのをググって知った)

 

藤井氏もまた、美濃加茂市を変えようとしたが、おじさんたちに恨まれて収賄疑惑という形で攻撃されたのかもしれない。むしろそう考える方が中田氏の件のあるし、普通かも。ちなみに2016年10月、現在も美濃加茂市長である。

 

最近では東京都知事のお金の問題で舛添さんが辞任した。これは舛添さんの自業自得かもしれないのだけど、そういう問題をマスコミに流すのは敵対派なのかもしれない。

 

政治家のスキャンダルや疑惑が出た時は、その政治家を落とし入れたい人たちが絶対にいると思い、見ないといけないんだなと改めて思うのでした。

 

 

 

職員からのメール

「おまえはバカだ」

「おまえみたいな野郎はとっとと消えろ」

「バカ市長、調子にのるな」

すべて実際に送られてきたメールの文面だ。なかでも印象に残っているのが、「死ね」というメール。大の大人が送るメールとはとても思えない。しかも、庁内LANで送られてくるこのメールには、ごていねいに所属部署や実名まで書いてある。

 

市長に対してこんなメールを送る職員がいることに驚きだけど、匿名でなく実名で送るという点もすごい。地方公務員法で守られる彼らは、こんなことをしてもクビにならないとわかっているのだろう。こうした一部の職員はやる気がなく、周りの士気を下げたりする。また、市長を脅迫した容疑で職員が逮捕されるということも起こっている。しかも逮捕された職員は59歳。大丈夫か。

 

あと1年で定年退職というのに、我慢できないのかと著者は言うけど、今まで甘い蜜をたくさん吸ってきたのに急にその蜜が消えていくのを見て、怒りがたまっていたのかもしれない。こんな人たちが税金で仕事をしていると思うと、なんだか空しくなります。

 

 まじめな職員が数多くいるのも事実だけど、やる気のない職員はどうしてこうも一定数いるのでしょうか。いや、やる気がない職員はまだ害がないほうかもしれない。人間関係を悪化させる人がいると、職場は混沌としだすから困るものです。

 

総合的に見た市長の評価

この本は市長が書いたものですから、もちろん市長は横浜市のために頑張ったんだぞ、こんなことしたんだぞと、基本的に良い面が多い。唯一突っ込める点は、開国博Y150と呼ばれる博覧会の有料入場者が500万人目標が蓋を開ければ124万人。赤字となったのである。この点はやはり失敗だったと思うのだけど、市長は総合的に見たら横浜市は黒字だったし、Y150に人は来なかったけど、横浜市の観光客は増えたんだと反論する。

 

総合的に見たら横浜市はよくなったのかもしれない。

 

そして最後に、疑問に思ったのが辞任時期。この件はwikipediaが簡潔にまとめてくれているのでそちらを引用。

2009年7月28日、2期目の任期途中で辞職を表明。辞職の理由について、第45回衆議院議員総選挙と同日に横浜市長選挙を行えば、オール与党・相乗り選挙とならないこと、レームダックを避けられること、選挙コストの削減に繋がること、などを挙げたが、中田が推進した開国博Y150が結果的に失敗に終わったり(中田は横浜市長辞職の理由や開国博失敗について自身の責任を著書「政治家の殺し方」で改めて記している)、多数のスキャンダルを報道される中であったため、「投げ出しだ」等の批判が相次いだ

中田宏 - Wikipedia

 

確かに衆議院議員総選挙と合わせることによってメリットはたくさんある。それこそ選挙コストの削減は大きいと思うし、横浜市長選の投票率が30%代と低くて、総選挙と同じなら投票率もあがるだろう。

 

しかしY150の失敗やスキャンダルなどの問題も多くあり、そうしたところもきちんと対処してほしかったと市民は思っていたのかもしれない。まあ著者はいろいろと信念を持っているようで、任期を全うしたいと思う中で、総選挙と合わせることのほうがメリットは大きいと考えたのだろう。確かにY150やスキャンダルの問題からも市長をやめれば解放されるし、市長からしたらメリットしかないかも。

 

そうして2009年8月17日をもって、辞任。ただの人になったのである。それから2年後にこの本が出版。そして2016年現在、相変わらず政治の世界はおかしいままである。

 

よく言われることだが、いまの日本は国も地方も、民間企業だったらとっくに倒産している状態だ。それでも、とめどなく借金を増やしながら行政を継続している。だが、行政の実態を知る私としては、国も地方も事実上破綻していると思っている。

 

日本が本当に破綻する日はくるのかな。

 

おしまい。