本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

"水"が"毒”に変わる時 『大人のための図鑑 毒と薬』

 

本日の一冊は「大人のための図鑑 毒と薬

 

 今日は毒と薬の本。毒と薬は紙一重と言い方もします。この二つの違いを知ることは医学の進歩においてとても大切で、慣用句には、「薬も過ぎれば毒となる」「毒にも薬にもならない」なんて言葉もあります。

 

毒にも薬にも

 

さて、この本には様々な毒が紹介されています。一番最初に紹介されている毒は、有毒生物のブラックマンバと呼ばれるヘビ。時速16kmの速さで襲い掛かってくるヘビだそうで、かまれたら数分で死に至る場合もあるとか。生物以外にも、毒キノコや、ダイキオキシン、サリンなどの化合物の毒も紹介されていて、これ一冊で大体の毒について知ることができます。

 

対して薬ですが、薬の基本という章があるのみです。この本は毒に焦点を当てて書かれているみたいで、毒と薬と書いてあるけど、9割毒の本です。毒を理解することによって薬を理解する本という位置づけでしょうか。

 

では毒ってなんだろう。最初にも書きましたが、毒と薬は紙一重で、人間にとって望ましい作用をした場合は薬、望ましくない作用をした場合を毒と呼んでいます。ですから、使い方によってどちらの作用にもなるわけですね。

 

普遍的に毒であるもの、薬であるものはなく、使い方によってどちらにもなり得る。

 

そんなこと知ってるよという人が大半かもしれません。では具体的に毒にも薬にもなるものはなんでしょう。

 

例えばモルヒネモルヒネは、痛みを大きく緩和させるという点では薬ですが、身体的、精神的依存や、嘔吐、便秘などの副作用があるため毒なわけですね。また、アスピリンは腫れや痛みの緩和、解熱の作用がありますが、肝臓や腎臓の働きを悪化させる作用もあります。このように薬にも毒にもなるものの多くは、医師や薬剤師のもとで適切に使用されることがほとんど。

 

毒にも薬にもなる物質を知ることは医学の上では非常に大切なこと。しかし、日常生活で摂取しているものにも、毒にも薬にもなるものがあるのです。

 

水でも死ねる

 

日々の生活で砂糖や塩、水を摂取していますが、これらも毒に代わる時があります。毒というか摂取しすぎると死ぬわけですね。いわゆる致死量。

 

65kgの人の場合、砂糖は約1kg。塩は32.5~325gが致死量です。塩はちょっと差がありすぎて難しそう。では水の致死量はどれくらいでしょうか。

2007年、アメリカで水飲みコンテストが開催され、参加した28歳の女性が水中毒によって急死している。この女性は15分ごとに225mlの水を飲み、合計7.6Lを飲み干した。(中略)水の致死量は成人男性で10~20Lとされているが、5~8L程度での死亡例もある。

 

一度に10Lも飲む人なんていないと思いますが、何事も適切な量を守ることが健康であるために必要であると改めて知っておいたほうがいいですね。

水のみを飲むことはあまりなくて、多くはお茶や紅茶、コーヒーを飲むのではないでしょうあ。それらに含まれるカフェインも摂取しすぎると体に悪影響を及ぼします。体重60kgの場合は7.8kが危険量。約8kgのカフェインなんてどう摂取したらいいんだろうと思ってしまいます。眠気防止薬は1錠で100mgのカフェインが入っているそうなので、80錠が危険量。薬の大量服用で自殺するシーンがあったりしますが、カフェインの過剰摂取で死に至っているということなのでしょうか。

 

致死量はあいまい

 

致死量の話をしておきながら、致死量はあいまいということがこの本には書いてあります。

LD50値や最小致死量などの値は、毒の強さを表したり比較したりする指標としてとても便利。しかし、この値はあくまで毒性を比較するための目安でしかない。その理由は第一に、薬物によって影響の受けやすさが、動物の種類によって異なるから。(中略)2つ目の理由は、実験条件による変動があり得るからだ。

 

つまり個人差があるから、そう簡単に致死量を決められないってことですね。お酒に強い人、弱い人がいるのと同じ。また、近年は動物愛護や倫理問題によって、実験が難しいんだとか。そのため、致死量はおおよその値を求めるようになっているそう。

 

そして、人間に対してこれは毒、これは毒じゃないという決める基準があるようです。

私たちが「毒」と呼んでいるものは「少量でも健康を害するもの」だ。下の表では、体重1kgあたり15g、つまり体重50kgの人が一度に750g以上を食べないと死なないようなものは、毒に含まれない。この場合、水や砂糖は毒ではない。お酒に含まれるエタノールは、個人差もあるが、下の表の「僅少」~「比較的強力な毒物」に該当する。

 

体重1kgあたり

15g以上・・・・・・無毒

5~15g・・・・・・僅少

0.5~5g・・・・・比較的強力な毒

50~500mg・・・非常に危険な毒

5~50mg・・・・・猛毒

5mg以下・・・・・・超猛毒

 

50kgの人が、750g摂取してようやく死ぬものは毒には含まれない。なるほど毒は少量であるという点も大切なんですね。確かに人間、どんなものでも食べ過ぎれは体に異常をもたらすわけで、そんなこと言い始めたら食べ物はすべて毒になってしまいます。

 

なんだか毒って難しい。人間も毒を持たないだろうか、とも思ったけど一つ持ってますね。毒舌という毒を。

 

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おしまい。