読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

オーガズムのレシピ 「触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか 」

科学 心理

 

本日の一冊は「触れることの科学: なぜ感じるのか どう感じるのか

 

 皮膚や触覚の科学をまとめた一冊。痒み、痛み、快感など触れることによって感じる脳の科学がいろいろと紹介されている。もちろん、性の話も。

 

皮膚の研究

 

まず「第1章 皮膚は社会的器官である」には、皮膚感覚によって人の第一印象が変わる実験を取り上げています。温かいコーヒーを持った人と、冷たいコーヒーを持った人とにグループを分けて、それぞれに人物評価をしてもらうと、冷たいコーヒー群より、温かいコーヒー群のほうが、架空の人物を温かい人と知覚しました。この実験は、前にブログで取り上げた本にも書いてありました。

 

皮膚に刺激を与えるのは温度だけでなく、質感によっても心理に影響を与えることがわかっています。

 

被験者に、簡単なジグソーパズルを完成させてもらう。片方はピースがサンドペーパーで覆われており、もう片方は同じパズルでピースの表面が滑らかだ。パズルができたら、ある会話を記した文章を読んでもらう。その会話は、人間関係上の意味合いを、わざと曖昧にしてある。

被験者にそれがどんな会話かを評価してもらうと、ざらざらのジグソーパズルを解いた人は、滑らかなピースのパズルを解いた人よりも、会話を(友好的ではなく)敵対的、また(協調的ではなく)競争的で、話し合いというよりも論争に近いものとして捉えるという有意な差が得られた。

 

つまり、人と話し合いたいときに、ざらざらしたアイテムを持たせるのは良くないということですね。ざらざらしたカップを使うなんてことほぼないかもしれませんが、陶器だとざらざらしているものもありますし、もしかしたら影響を与えているかもしれません。でも陶器でお茶を飲む場合、お茶は温かいし取っ手がないから、皮膚に温かさが伝わることによって、相手に温かい人と思ってもらえてよいのでは、とか思ったりする。

 

さらにほかの実験では、被験者に手品のトリックを見破ってほしいと依頼し、タネがないことを確認してくださいと、相手に柔らかな切れ端、または固い積み木に触れてもらう。そうして、さきほどと同じように文章を読んでもらい評価をしてもらった。結果、固い積み木群は、柔らかな切れ端群より架空の人物を頑固で厳格な人と評価した

 

ものに触れるということは、人の心に影響を与えるのですね。確かに、触られると気持ちよくなっちゃいますもんね。

 

 

 

オーガズムのレシピ

 

この本のサブタイトルには、なぜ感じるのか どう感じるのかとあります。「触れる」と「感じる」というと、どうしても性的なことを想像してしまいます。

 

さて、オーガズムとはなんでしょう。精神科医ジョン・マネーはこう定義しています。

「男性および女性が主観的に、官能的な恍惚、すなわちエクスタシーとして特徴づけるような性愛的経験の絶頂。脳/心と生殖器において同時に生じる」

 

オーガズムは独特な経験であり、脳で生じるものだということが大切になってきます。確かに生殖器以外を触れることによってオーガズムを得る人がいます。そしてオーガズムは男女でも差があります。ただ、オーガズムの時、脳の感じ方は男女ほぼ同じだそうで、男女の気持ちが一番わかるのは、このオーガズムの時なんだとか。その話の詳細は以下の記事で。

 

異性の気持ちに近づける性行為 『悪癖の科学-その隠れた効用をめぐる実験』 - 本は熱いうちに読め

 

さて、ここで紹介したいのはオーガズムの小難しい話ではなくて、この本に紹介されているオーガズムのレシピの話です。

 

私たちはオーガズムに達したときに、それを単にばらばらの感覚の寄せ集めではない、超越的で統合された瞬間と感じる。本来的に快く、感情的に好ましいものとして経験する。それはなぜなのか。

もしこれが単純に脳スキャンの結果が示すものの寄せ集めだとしたら、こんなレシピになるだろう。

 

オーガズムは、以下の材料を混ぜ合わせて作ります。

 

生殖器からの触覚を活性化します(体性感覚野)

不安と警戒を不活性化します(扁桃体

快感回路を活性化します(腹側被蓋野側坐核、背側線条体

運動中枢を活性化します(小脳核)

慎重な判断を下す領域を不活性化します(外側眼窩前頭皮質、前側頭極)

 

お皿に盛ります(1人分)

 

つまり、これらの脳領域の活性化、不活性化を人為的にコントロールすることができれば、いつでもオーガズムを経験することができるということ。そんなことができるのかは知らないけど。

 

オーガズムは、たくさんの脳領域の活性化・不活性化によって起こっているということを私たちは知らないのではないでしょうか。

 

私たちはオーガズムを本来的に快いものとして経験しているが、それは実は、脳の多くの領域が同時に活動することで、脳が私たちにそのように経験させているにすぎないのである。(中略)

だが、素晴らしいのは、私たちはオーガズムを構成するこれらの各要素について考える必要がないということだ。ただ、脳が料理してくれた、この統合された感覚を楽しめばいいのである。

 

 何も考えずに、感じて、楽しめばいい。最高

 

おしまい。