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厚みのある本は苦手

異性の気持ちに近づける性行為 『悪癖の科学-その隠れた効用をめぐる実験』

 

本日の一冊は「悪癖の科学--その隠れた効用をめぐる実験

 

前回は、このような記事を書きました。

お酒を飲むと魅力的に見えるしナルシストになれる 『悪癖の科学-その隠れた効用をめぐる実験』 - 本は熱いうちに読め

 

今回は、セックスの話です。この本はその悪癖の隠れた効用を解き明かす実験をまとめたもの。お酒は人を魅力的に見せるし、悪態をつくことは痛みを軽減することができる。では、セックスにはどんな効用があるのだろう。

 

男女の共通点・相違点

 

その効用を解き明かすためにある大学の研究チームは、カップルに性行為をしてもらい、そのときの脳をPETと呼ばれる装置でスキャンしました。性行為といっても、被験者は椅子に座り目を閉じて、パートナーに性器を刺激してもらうものだった。この実験の結果、男女の脳には、共通点と相違点があることが分かった。

 

男女の脳のいちばん顕著なちがいは、プレ・オーガズムの段階で見られる。男性は右後部前障と呼ばれるところが活発になっている。触角と視覚のように、異なる感覚を統合する領域だ。男のセックスが女より視覚優位になるのはそのためだろう。これに対して、女の脳は左頭頂皮質後部の活動が目立つ。ここは感覚野と運動野、また前頭葉の運動皮質どうしを接続する重要な領域だ。

 

男は視覚に、女は触覚で興奮するみたいなことを違う本でも読みましたが、脳の研究でも同じことが言えるのでしょう。やはり男女には明確な違いがいくつもあるのです。

 

これに対して、男女の脳の共通点とはいったいなんでしょう。

オーガズムの瞬間は、男女ともに眼窩前頭皮質の活動が停止する。ここは衝動抑制や食欲、自己監視や自己言及的思考に関わるところ。それが不活性化するのだから、衝動の抑えがきかず、食欲がなくなり(堪能感)、自分を客観視できないおめでたい精神状態になる。(中略)オーガズム体験を共有できることは、セックスの隠れた効用かもしれない。その瞬間だけは、男と女が壁を取りはらい、距離を縮めることができる。

 

異性の気持ちを知ることは難しい。しかし、オーガズムは男女とも同じ脳の活動をしているのです。男女の性的興奮の差は色々ありますが、いく瞬間だけは男女という差はなく、同じ快感を得ている。同時にいくことができれば、より一体となれるのかもしれません。

 

それにしても「おめでたい精神状態」という表現は参考になりますね。確かにおめでたい精神状態なんでしょうけど。

 

このような研究を見てみると、世の中にはいろんな研究者がいるなと思ってしまいますが、ある研究者は、女性の性器画像を用いた実験を行いました。

 

女と赤

 

赤色」は性的魅力と関連付けられることがあります。例えば口紅の色であったり、女性が赤い服を着ると男性は性的興奮しやすいとかそういう。そして、女性の性器も赤ければ赤いほど魅力が高まるのではないか、と研究者は考えました。実験に使用した画像は、某画像サイトから選定した。この本には、そのサイトのURLまでご丁寧に書かれている。(即googleで検索したことは言うまでもない)

 

さて、実験結果はどうだったのだろう。

実験結果は、事前の予想を裏切るものだった。赤みがちがう4種類の性器のうち、被験者はレッドに最低の評価を下したのだ。ピンク系の3種類では好みの差は見られず、被験者の性体験の多寡も影響しなかった。

 

被験者に数多くの性器の評価を下してもらう実験。言葉にするとなかなかのインパクトがあります。結果はレッドが最低とのことで、赤よりピンクがいいらしいですよ()

では、どうして赤色は性的な印象を抱いてしまうのだろうか。その一つの答えとしてこう記されている。

赤いドレスの女性が「そそる」のは、生殖能力とか、女性器の色を直接連想させるのではなく、男性の競争心を間接的にあおるからだというのだ。

 

女性の赤は一人の男性に対するアピールというよりは、多くの男性にアピールするための色なのかもしれません。ということは、合コンの時に赤色の服を着ていけば、男性陣を私を奪うために競争なんていうことを、あおることができる?ちょっと飛躍した考えか。

 

 

 

日々の顔合わせは恋のはじまり

 

あなたが恋に落ちる相手は、世界にひとりだけの運命の人でもなければ、一度見たら忘れられない個性的な美貌の持ち主でもない。ちょくちょく顔を合わせているだけの人なのだ。

 

身も蓋もない答えだが、これが真実だったりする。魅力的な顔とはどういう顔か。顔を見せて評価をしてもらう実験結果から、平均顔が魅力的な顔だとわかった。平均顔とは、たくさんの人間の顔をもとに作成したもの。つまりイケメンは平均的な顔ということでしょう。ブサイクは平均から外れた顔・・・。個性的ですね! 絵描きさんがイケメンは特徴がないから書きにくいと言いますが、平均顔だからでしょう。

 

そして、人間には単純接触効果というものがあり、見慣れた顔は好感度があがるということ。毎日顔を合わせているうちに好きになっていたーなんてことは普通でしょう。

 

「刺激的な恋に落ちたい」と願っても、実際は毎日顔を合わすことによって恋に落ちるだけなのである。

 

恋ってなんだろう。

 

 いたずら書き

性の話を二つ取り上げましたが、最後に、いたずら書きという悪癖の話を少し。

みなさんはノートにいたずら書きをしたことがあるだろうか。ないという人は少ないと思う。授業や会議では、どうしても暇だと感じる時間がある。そのとき、暇つぶしにノートの端に何かを書いてしまう。これにはいったいどんな意味があるのだろう。

それをまじめに研究したチームがいる。

 

注意散漫な時間つぶしと思われがちないたずら書きだが、実は集中力を高め、成績を向上させる効能があるのではないか。プリマス大学のある女性心理学者は、そんな仮説を立てた。仮説を立証するために、彼女は退屈になる実験を考案した。

 

実験の話は引用するには少し長かったので簡単に説明します。

被験者はパーティー主催者の留守電メッセージを2分間聞く。被験者には、このメッセージは退屈なものであると伝え、このメッセージを聞き、パーティー出席予定者の名前を書き留めてもらった。

被験者を二つのグループにわけ、一つはいたずら書きを推奨。といっても、いたずら書きしてくださいと伝えると、被験者はいたずら書きが重要な部分と考えてしまい実験に支障が出るため、四角や円を印刷した紙を私、鉛筆で塗りつぶすという指示をした。では結果はどうだったか。

 

パーティー出席者は8名で、いたずら書きグループはわずかな例外をのぞいた全員が、8名の名前を全部書きとめていた。いたずら書きをしなかったグループのほとんどは、少なくとも1名は漏れがあった。このあと抜きうちで記憶力テストをした結果、パーティー出席者の名前や、メッセージに出てきた場所の名前を多く記憶していたのはいたずら書きグループだった。

 

いたずら書きをすることによって集中できたということだ。なぜこのような結果になったのか。

メッセージはわざと退屈につくってあるから、被験者はともすると注意がよそに流れがちになる。いたずら書きは、それを防いだり、引きもどしたりする役目を果たしているのだ。つまりいたずら書きは集中力を保ち、退屈だけど必要な作業を効率よくこなす手助けをしていることになる。会議や授業でのいたずら書きは、話に集中しようという誠実さの表れなのだ。上司や教師はその努力を称賛するべきだろう。

 

といっても、いたずら書きに集中しすぎて、授業や会議をまったく聞かないというのも問題ですから、いたずら書きをしつつも話を聞くという意識は必要でしょう。

高校生のころ、こんなノートを使っていました。

 これはページの端から5センチぐらいに罫線がなく、余白があります。開発者からすれば、この余白には、図・グラフや補足説明を書いてほしいという意図があったと思います。実際にそういう使い方もしていました。

 

しかし、この余白のほとんどには落書きをしていました。ノートには、いたずら書きするスペースが必要だと思うのです。そのスペースこそが、集中を高めるために必要なもの。そんなことを久しぶりに考える一冊でした。最近ノート使ってないなあ

 

おしまい。