本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

ウェブは人生に驚きを与える 「ウェブでメシを食うということ 」

 

本日の一冊は「ウェブでメシを食うということ

 

ウェブはバカと暇人のもの 」著者、中川淳一郎氏の新作。

 

本の内容は毎回面白く、楽しんで読んでいるのだが、どうしてもニコ生で見かけると、この人は何を言っているのだろうと思ったりする。感情的な面を見るとどうも合わないらしい。ウェブの話は好きなので見るのだけど。

 

1997年のパソコン事情

 

本著は中川氏がどうやってネットを使い今まで生きてきたかをまとめた一冊。というわけで、8歳の時にゲームをし、高校生の時にタッチタイピングの授業を受けたというネットとの関わりの話から始まっているわけですが、1997年に博報堂に入社した時に、「これからは中川の時代だ」と言われるほど優秀なものを持っていた。

 

1997年春、「キーボードを打つのが速い」ということが「優秀」の象徴の一つだったのである。

 

家庭にパソコンがある家も少なかったことでしょう。私も高校生の頃、情報の授業でパソコンを使うことがありましたが、タイピングが速くて驚かれました。ただその時から独自の打ち方で、それを直さずここまできているので、はたから見ると打つの大変そうみたい。

 

そんな1997年から、20年近くが経過し、スマホの普及によって、またキーボードを打つのが遅い人が増えていくのではと感じ始めます。時代は繰り返すというのはこういうことなのでしょうか。もしかしたら今後、パソコンではなくスマホを中心として仕事をすることが多くなっていく・・・なんてことはないか。

 

 

 

リアルとウェブ

 

 時は過ぎ、ネットの普及によって、ネットニュースの編集として活躍する中川氏。

 

しかし、そんな彼にも不幸が訪れる。

 

付き合っていた彼女(通称カメ)と結婚したが、カメが鬱病になったのだ。中川氏には休みがなく、カメは孤独を感じていたのだろうか。中川氏は2008年8月には編集を辞めるといい、そこまで待ってほしいとカメに伝えていた。

 

しかし、その期限である2008年8月の1年前である2007年8月12日、カメは自殺した。

 

 紆余曲折あるような人だとは思っていたが、まさか愛する人を亡くしていたとは。それでもネットの仕事から離れなかったのは、この仕事が合っているということなのだろう。

 

それから2年後、2009年。「ウェブはバカと暇人のもの」が発売される。本書ではこのベストセラー本がどういう経緯でできたのかが書かれている。

 

さて、結果的に同署は売れたのだが、私は同書に「ネットの現実を知ってもらう」という意図は込めたものの裏テーマがあった。それは2007年8月に死んだ恋人・カメへの追悼を書くということである。さらに、同書については「ネットにかまけ過ぎた男の自戒の書」といった考えもあった。それは最終章である第5章に表われている。

 

 この「ウェブはバカと暇人のもの」の5章には、「死」という言葉が4回入っている。その一つが以下の文章である。

 

だが思うのだ。

いくらネットが発展しようが、それでも人はトイレに行くし、夜になれば眠くなる。そして、好きな人を見ればドキドキする。愛する人に死なれたら、狂ったように泣きたくなる。

 

数年前にこの本を読んだ時は、この「死」という言葉に全く意識がなかった。というか「死」なんて言葉が使われたことすら記憶にない。ただただウェブはバカと暇人が多いし、PVを稼ぐという目標だけ見ると結局テレビ出身者を使うのがいいみたいなことになって、マスメディアって変わらないなと思ったものである。

 

その本がまさかこのような裏テーマがあったとは。そして最後にこう締めくくる。

 

ネットはあなたの人生を変えないから。

 

それから7年、本書の第5章「ネットで人生変わった!~SNS普及から現在~」の最後はこう締めくくられている。

 

そして、何よりネットは仕事を増やしてくれた。これに勝る喜びはないし、感謝している。生きる糧をくれてありがとう、インターネット。

 

もし、愛する人を失ったショックから、ウェブの仕事を離れていたら、中川氏は今頃どうなっていたのか。

 

これからも中川氏はウェブでメシを食っていくのだろう。

 

おしまい。