本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

人と触れ合う機会が最も多い虫 「なぜ蚊は人を襲うのか」

 

人間と直接触れ合う機会が最も多い虫が、この蚊なのです。 

 

本日の一冊は「なぜ蚊は人を襲うのか

 

 毎年この夏という季節に現れる細小の黒き生物「蚊」。

1年に1度は出会うその生物のことを私はよく知らないではないか。

ということで、こんな本を見つけました。

 

著者は衛生動物や寄生虫を専門とする教授のようで、研究室には万単位の蚊がいるそうな。そんな蚊のスペシャリストが紹介する蚊の生態はとてもわかりやすく、入門書として最適です。

 

最初に引用した一文。確かに直接触れ合っていますけど・・・。触れ合うと言われるとなんだか違うような、私は蚊と触れ合いたいわけではないのに、向こうからやってきて吸って帰っていくわけですから、もはや通り魔じゃないですか。

 

蚊を引き寄せるもの

 

蚊は吸血する対象をどうやって見つけているのか。その目印として、3つの要素があるようです。

 

1.二酸化炭素

 動物の呼吸から出る二酸化炭素に蚊は反応します。といっても、空気中にも二酸化炭素は存在するわけで、二酸化炭素というよりは、その濃度変化によって対象を見つけ出すようです。

 

2.匂い

 蚊も匂いを感知することができます。動物の匂いは、オクタノール、2-ブタノン、乳酸などが誘因する物質なようですが、専門用語でどのような匂いはかよくわからない。ただ、分かりやすい用語が1つ書いてありました。人間の汗です。

 

綱かごの中にネッタイシマカを入れ、それらの蚊が前腕に留まって吸血を始めるまでの時間を調べました。その数、100人以上。その結果、ほとんどの被験者では、25秒以内で蚊が寄って吸血を始めましたが数名だけが100秒以上掛かりました。その理由はすぐに判明しました。蚊が寄りづらいその人たちは、無汗症だったのです。

 

汗の匂いもまた独特で、もはや異臭を放っている人もいますね。そんな人たちには蚊をプレゼントしたいものです。

 

3.熱

 

3つ目は熱。こちらもある実験が紹介されています。

 

空のペットボトルに人肌ぐらいのお湯を入れて、ハマダラカもしくはヤブカが入った綱かごの上に載せます。すると、メスの蚊たちはこぞってペットボトルに張り付き、口吻で一生懸命刺そうとします

 

熱の存在によって、そこに生物がいると勘違いするそうです。

 

この熱が蚊を誘因する範囲は、約40センチメートルが限界です。このことから、蚊は、熱放射ではなく対流熱を認識していると考えられています。

 

二酸化炭素、匂い、熱の目印を感知して、吸う対象まで近づいてくるわけです。熱に関しては40センチとありましたが、二酸化炭素や匂いはどのくらいの範囲まで感知しているのでしょう。部屋の端から端まで反応できると考えると数メートルでしょうか。

 

 

 

O型

 

蚊は、時として感染症を人間に移していきます。去年ぐらいに日本でもデング熱が流行しました。

 

私たちを悩ませるヒトスジシマカは、イヌ、ネコ、ウシ、ネズミやニワトリなどの哺乳類・鳥類だけでなく、ヘビやカエル、果てはカタツムリやカイコからも体液を吸います。ここで重要なのは、選択の余地があるか否か、です。

 

そして普段は感染しないはずなのに、蚊という仲介役の出現によって人間が病気にかかってしまうのです。

 

O型の人は刺されやすい。そんな話を聞いたことがある人もいるかと思います。このO型論争は未だに続いているそうで、ある研究では、O型の人はA型よりも約2倍効率よくヒトスジシマカを誘因するようです。

 

ただ、O型の人が刺されやすいというよりは、他の遺伝子が関係しているであろうという説もあります。

 

血液型を決める血液型抗原は、糖転移酵素(A型転移酵素、B型転移酵素)により決定されており、第9番染色体に遺伝子が存在しています。遺伝の法則にしたがって次世代に伝わるので、糖転移酵素遺伝子のごく近くに、「蚊の刺されやすさ(またはその反対)に影響を与える遺伝子」がきっとあって、見かけ血液型と一緒に遺伝していると考えられています(連鎖といいます)。

 

確かに血液型で決まるってちょっと不思議な感じがしますから、血液型と一緒に遺伝するほかのなにかが影響を与えていると考えるのが妥当な気がします。

 

痒み

 

蚊に刺された時にかゆくなるあれですが、たくさんの蚊に刺されると、痒みを感じなくなり、無反応になるようです。簡単に言うと抗体が作られて反応が起きないということです

 

一晩で200回刺されるような、マラリア流行地域の住民は、ほぼ1年中唾液腺成分を注入されています。そのため、常にIgG抗体が体内に存在するため、いくら蚊に刺されてもあの嫌な痒みは起きないのです。 

 

蚊にさされても痒くならない。しかも何百匹も蚊がいる中で、蚊をどうにかしようと思う人は少ないでしょう。そうやって感染症は広がってしまうわけです。

手でパンッとすれば死んでしまう蚊。その蚊も人を殺すことができるのだから、生物というのはとても興味深いですね。

今度蚊を見つけたら観察しようかな、と思いましたが刺されて痒くなるのはいやなので倒します。

 

おしまい。