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本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

生殖が一番! 「野蛮な進化心理学―殺人とセックスが解き明かす人間行動の謎 」

 

本日の一冊は「野蛮な進化心理学―殺人とセックスが解き明かす人間行動の謎

 

とにかく人間というのは繁殖が大事なんだぞっていう話を永遠と繰り返されているような本。訳者あとがきにこ本書の主張としてこう書かれている。

 

本書の主張は単純明快。人間のいろいろな行動、特に性差の背景には、進化に裏打ちされた、生殖と子育てを有利にするという利己的遺伝子の戦略が働いているのだ、ということだ。

 

まあ生物というのは滅びないために繁殖行為をしなければいけないわけですが、なかなか都合のよい解釈だなと思ったり。

 

訳者もあとがきでこの本の問題点をあげていて、この人はどうしてこの本を訳したんだろうと考えてしまうわけですが、お仕事の一つなんだろうと解釈してやめました。

 

キモヲタ諸君

 

さて、本書には訳者あとがきがあります。訳を担当した山形浩生氏が本書の主張や背景を説明していて、先にこれを読めばよかったかなと思ったのですが、このあとがきの中に「~ぞ」という語尾がついた文章があるとは想像していませんでした。

 

本書の知見はインターネットの一部に巣喰う、キモヲタ諸君にも猛省を促すものである。こうしたキモヲタ諸君の多くは、世の中イケメンばかりがいい目を見ていて、女の子は自分たちブサメンやキモメンにはふりむいてくれないものと決めつけている。が、イケメンの効力はそんなに強くはないようですぞ。(中略)イケメンはどんなダサイ服でもモテるし、ブサメンは身なりにいくら気をつかっても無駄、とこうした人々は主張するが、これまたウソで、身だしなみはモテに重要らしい。

 

 山形さんは2ちゃんねらーなのでしょうか?

 

キモヲタに猛省を促すかはどうかはさておき、本書ではマズローの動機ピラミッドの代わりに新しい動機ピラミッドを紹介しています。

 

http://blog.svd.se/idagbloggen/files/2010/12/maslow.jpg

 

こちらがマズローのピラミッド。心理学を勉強した人なら見たことがあるはず。

 

下から、差し迫った生理的欲求、安全、愛、承認、自己実現とあり、人間は下の動機が満たされていないと上にいけないみたいな説明だったと思います。

 

このマズローのピラミッドを再構築させたのが著者の新しいピラミッド。それが下の図です。

 

http://blog.svd.se/idagbloggen/files/2010/12/alternativpyramid.jpg

 

下から、差し迫った生理的欲求、自己防衛、提携、地位・承認、配偶者の獲得、配偶者の維持、子育てとなっています。

 

下の生理的欲求、自己防衛、提携、地位・承認はマズローのピラミッドとほぼ同じ。著者はマズローの一番上にある自己実現をここでは承認に含んでいます。

 

では上に残っている配偶者の獲得、維持、子育てとはいったいなんなのか。

 

ここでまず、これら三つの新しい動機を「セックスへの欲望」と呼んでいないことに留意してほしい。

 

この欲望は生理的欲求から格上げされて配偶者の獲得というカテゴリーに移されているようですが、性的欲求はそこまで重要ではないらしい。

 

もし、この新しいピラミッドに焦点が当てられたら、キモヲタ諸君は最上位に到達できないじゃないか!と思いますぞ。むしろ配偶者の獲得からして無理ですぞ。キモヲタ諸君は自己実現をしていたほうがいいですぞ。

 

 

 

下位自己

 

新しいピラミッドに対しては少し疑問を感じてしまいますが、下位自己という考え方はなるほどなと思いました。

 

下位自己とはなんでしょうか。これは、自己は統一された一つのものではなく、いろんな自己があって、時と場合によって一番相応しい自己が表われるというもの。

 

もしかしたら、脳の中にはしっかりと統一された単一の自己が存在している、と考えることさえ間違いなのかもしれない。むしろ、人の頭の中には緩やかに結びついた複数の下位自己があって、そのそれぞれが、神経のハードウェアとソフトウェアの独自の組み合わせによってコントロールされている、と想像したほうが理にかなっているようだ 

 

 まあ当たり前と言ってしまえば当たり前かもしれません。友人と会社の上司とでは違う仮面をかぶっているでしょうし、見知らぬ人の前では知っている人とは違う仮面をしているでしょう。。

 

下位自己には7つあるとしています。

 

チーム・プレイヤー、野心家、夜警、強迫神経症患者、独身貴族、よき配偶者、親。

 

この7つの下位自己から、人間はひとつを選択して自己を出しています。

チームプレイヤーは提携、野心家は地位、夜警は自己防衛、強迫神経症患者は病気予防に携わる自己です。

残りの独身貴族、よき配偶者、親はさきほどの新しいピラミッドの上位にもあった配偶者の獲得、配偶者の維持、そして子育てと同じでしょう。

 

著者はどうしても人間の生物学的行動を生殖と子育てに結び付けたいらしいです。まあ恋人の前で見せる仮面と、子どもの前で見せる仮面は違うでしょうし、これはそうだなと思いました。

 

でもこの7つの下位自己では足りないように思います。ふつうの時はどの自己が表に出ているのでしょうか? 読みが甘いのか見つけられませんでした。

 

殺人とセックス

本書の最初は暴力と性についての研究結果が色々と紹介されています。

 

たとえば、学生たちに殺人願望を抱いたことがあるか調査したところ、男性は70%、女性は60%を超えた。そして、その中で男性を殺したいと思っている人は男性で85%、女性で65%だったそう。どんだけ男性を殺したいんだよと思ってしまいますね。

 

また、これも当たり前かもしれませんが、男性は女性の容姿に惹かれ、女性は男性の地位に惹かれるというもの。これはキモヲタ諸君の話でも出た服装の話にもつながります。

 

地位が高く見える服装は男性の魅力を押し上げるため、本人の魅力には欠けるが、いいスーツを着てロレックスを腕に巻いた男のほうが、ハンサムであるがバーガーキングの従業員の格好をした男よりも女性に好まれるという結果が出ている。それとは逆に、男性が女性を評価するときは、好印象を与えるよう着飾っていようが、フライドポテトを揚げるためのラフな服装だろうが、とにかく顔立ちの美しい女性が好まれることがわかっている

 

タイトルにセックスと書いてあり、性的な話が紹介されていると思って読んだのですが、性差の話ぐらいで日本語で表現されるセックスとは違ったかなという感じ。もともとセックスは性という意味ですから、間違いではないんですけどね。

 

とにかく、ブサメンも見た目に気をつかえばワンチャンあるよっていうことですね、うん。

 

おしまい。