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本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

言葉のあやちゃん―「陽気なギャングは三つ数えろ」

 

本日の一冊は「陽気なギャングは三つ数えろ

 

陽気なギャング

 

陽気なギャングシリーズ3作目。

 

特異な能力を持つ銀行強盗たちが織り成すサスペンス作品。

 

2作目から9年という月日が経ち、

 

著者は気づいてしまった。

 

「銀行強盗なんてやれるわけない」

 

しかし、そこはもう小説だからという感覚で納得しているようで、

 

今作も面白い出来となっています。

 

主人公は、響野、成瀬、久遠、雪子の4人。

 

話の視点も4人あって、連動していくのは分かりやすい。

 

今回も銀行強盗をしたのはいいけれど、そこからトラブルが始まります。

 

 

名言・迷言

 

面白い表現や言い回しがあったのでご紹介。

 

「成功は、『たまたま失敗しなかった』の別名だ」

 

 失敗は成功のもとと言うけど、成功は失敗しなかったの別名と言い換えると

 

前提にあるのは失敗なんだということに気づかされます。

 

最初から成功する人はいなくて、失敗から始まる。

 

そして、失敗しなかったことが成功と呼ばれる。

 

そう考えるとそもそも失敗がほとんどなんだから気にすることはないと思えてきます。

 

この言い回しはぜひ覚えておきたいです。

 

 

「貴社の記者が汽車で帰社」

 

記者である相手に対して、とぼけた返答をするシーン。

 

このあとに、「漢字変換の調子を調べるための有名な文章でしょ。」 と続きます。

 

そうなのか!と思い、調べたら本当にそのようで、

 

この「きしゃのきしゃがきしゃできしゃした」を一発変換できれば、性能がよいとされるとかなんとか。

 

はてなキーワードにもこの語彙が登録されていて、

 

IMEの性能を測るとされる文の一つ。のため、辞書で対応するといった不正が後を立たない。

貴社の記者は汽車で帰社したとは - はてなキーワード

 

確かに辞書に登録されていたら性能のよしあしなんてわかりませんね。

 

ちなみに私のスマホで打ち込んでみたら一発で予測変換に出てきました。

 

もしかしてこのフレーズ登録されてる?

 

 

「ともだち、というのはね、自分の会いたい時に会いたい人のことを言うわけで、相手の会いたい時に会ってあげたい人のことは言わないんですよ。-」

 

友人から、「今すぐ来てくれ」と頼まれたときに、本当に来るのかどうかを試す「ともだちテスト」。

 

ここでは本当に友人が来ます(無理やり連れてこられる)が、

 

さて、これを実際に試したら、来てくれる人はいるのでしょうか。

 

それぞれに日常の用事があるわけで、急に来てくれと言われて来れる人は少ないでしょう。

 

自分自身で考えると、来ないだろうなーと悲しい気持ちになってしまいますし、

 

自分がもし来てくれと言われたら、行くかどうかも怪しい。

 

人間関係ってしょせんそういうものなんでしょうか。

 

 

言葉と感情

 

 最後に、少し長いけど"言葉"についてのやりとりを引用。

 

カジノの借金をどう取り立てるかについて話しているシーン。

 

久遠はカジノの一人に、強く取り立ててもいいのでは、と話す。

 

「助言ですか?」

「まさか。人間の悪い部分は、他者に助言できると信じているところだよ」

「面白いことを言いますね。虫や動物は助言しませんか?」

「フェロモンで信号は出すけれど。人間は残念ながら、言葉でやり取りしようとするでしょ」

「言葉は駄目ですか」

「駄目、ってわけじゃないけど。言葉にさ、理屈と感情とかがくっついてくるからさ。素直に、ごめん、と言うべき箇所なのに、『俺がどうして頭を下げなくちゃならないんだ』と思うと、言葉が変わってくる。だからうまくいかないんだ。言葉は、頭の中の上司の決裁をいくつももらった後でようやく外に出ていくようなものだからね。正直になれない。フェロモンみたいに素直に外に出るものだったら、分かりやすいけど」

 

伝えたい言葉を想像するのは簡単かもしれませんが、

 

その言葉を相手に伝えようとすると、感情に支配された脳は

 

その言葉を、違う言葉に変化させて外に出してしまう。

 

そのまま伝えたい言葉を外に出せればいいんでしょうけど、やっぱり難しい。

 

言葉のコミュニケーションの難しさを表しています。

 

ただ、この理屈や感情を通さないと

 

相手を傷つけてしまうこともあるのでは。

 

こんなことを伝えたら相手は傷ついてしまうのでは、という感情は大切です。

 

逆に感情のまま暴言を吐いてしまうときもあるでしょうけど。

 

それでも、感情があるからこそ相手に伝わる時もあるし、

 

淡々と言われても面白くないでしょう。

 

ブログ記事でさえも、読んでいる人の感情によって

 

受け取り方は変わってくるし、他意はない文章なのに、変に色々と考えてしまったり。

 

言葉そのものに悪意はないのに、感情に悪意があれば、悪い感じがしてしまうし、

 

逆に言葉に悪意はあるのに、感情に悪意がなければ、悪い感じはしない。

 

「きもい」

 

言葉としては悪意がある言葉ですが、ふざけて言われても傷つかないでしょう。

 

でも、感情に悪意があると、心に響いてきますよね。

 

感情はそれほどまでに重要な気がします。

 

言葉にする時は、その言葉自体だけでなく、感情にも目を向けなければいけないですね。

 

 

お_し_ま_い_。