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本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

『雇用形態=身分』の時代と言葉の力―「雇用身分社会」

 

パート、アルバイト、派遣、契約社員などの雇用形態は、いまでは雇用の階層構造や労働者の社会的地位と不可分の「身分」になっている。

 

本日の一冊は「雇用身分社会

 

 

 雇用身分社会

 

どのような雇用をされているかで身分さえ決まってしまうのが現代日本。

 

現代日本の雇用身分制は、賃金その他の労働条件において比較的恵まれた地位とそうでない地位とのあいだの一定の序列をともなってはいるが、異なる階級間ではなく、労働者階級という同一階級内部での異なる階層間の関係を表している。

(中略)

ひとたび現代日本の雇用の現実を直視すると、雇用が「社会における人びとの地位や職業の序列」を作り出している面があることは否定できない。

 

特に大きく分けるのは正規労働者と非正規労働者

 

パート、アルバイトでも、フルタイムで働いて正社員と同等の仕事をしている人はいると思います。

 

にもかかわらず、彼らに正社員につく手当は何一つつかない。

 

どうやって雇用されるかによってもらえるものが違う。同じ仕事なのに。

 

違う仕事をまかされているなら差が生じるのは当然だが、

 

同じ仕事内容で待遇が違うのは謎である。それが雇用の力なのでしょう。

 

一つ思うのは、

 

正社員の仕事が、非正規社員の仕事と同じになってしまうのか、

 

非正規社員の仕事が、正社員の仕事とかぶるのか、どっちなんでしょう。

 

 

 

正社員の多様化➡限定正社員と残業代ゼロ

 

第4章にある「正社員の誕生と消滅」。

 

正社員という言葉の誕生と、正社員の待遇、今後について説明しています。

 

最近では正社員にもジョブ型正社員や、限定正社員などの言葉が誕生しており、

 

限定正社員について著者は正社員の多様化と説明しています。

 

限定正社員制度の狙いは、「非正規の正規化」以上に、正社員の一部を限定正社員にすることを通じた「正社員の多様化」であり、「正社員の解雇の柔軟化」にあると考えられる。 

 

また、限定正社員は、正社員を非正規社員のような安い賃金での雇用にしてしまう力を持っていると著者は言います。 

 

新たに導入・拡大されようとしている限定正社員の賃金は、いまある一般職より低く抑えられるだろう。エリア正社員型の限定正社員は採用地域ごとに基本給そのものが違い、その地域の最低賃金に準拠して非常に低く抑えられるだろうことは目に見えている。 

 

限定正社員とは別に、正社員の多様化といえば「残業代ゼロ法案」に当てはまる労働者がいます。

 

これについては、もはや「労基法解体法案」だと述べていて、労働時間をさらに伸ばすことになり、過労死が増やすおそれが大きい、とも述べています。

 

賃金を安く抑えられる正社員と、労働時間が増える正社員。

 

正社員はもはや企業の奴隷なのでしょうか。

 

以下の引用文は、2005年の日本経済新聞に掲載された、人材派遣のパソナ社長の南部靖之の発言

 

正社員が安定した雇用で一番常識的な働き方という考え方は、二十年後にはひょっとしたら非常識になっているかもしれない。

 

10年たちましたが、正社員は安定した雇用にあります。非正規社員たちと比べて。

 

さらに10年後、正社員という言葉はどのような存在になっているのでしょうか。

 

新しい働き方を指し示す言葉が生まれているかもしれません。

 

いや、きっと生まれているでしょう。

 

その働き方が多くの人を幸せにしてくれるものだといいんですけど。

 

言葉の認知

 

上の話の続きですが、雇用とは関係ないかもしれません。

 

現代用語のなかには、それが創られ広まることによって、ある社会事象が突然のように万人の知るところとなるものがある。それは、存在していながらあまり気づかれていなかった現象が、それを端的に表す言葉が探し当てられ、その言葉のレンズを通すことによって、その現象が多くの人びとの目にいっそうはっきりと入るようになることを意味している。

 

過労死」「格差社会」などを例にあげていますが、

 

ニート」や「ブラック企業」という呼称も言葉が当てはめられたことによって

 

認知度は高まり、問題となっています。

 

言葉が当てはめられることによって認知度はぐんと高まり、

 

そして問題として取り上げられる。本当は以前から存在していたのに。

 

日本人には肩こりがあるそうですが、外国の方にはこの肩こりがわからないようです。

 

肩こりという言葉ができてしまったがために、肩こりを認知してしまう。

 

もしくは、

 

エスキモーの人たちが氷の上で寝ていても凍傷にはならなかったのに、

 

学者が凍傷になるぞと注意したら凍傷になってしまったという話があります。

 

ほんとかどうかはさておいて、

 

その言葉や現象を言われて意識し始めると、本当に体が反応してしまったりする。

 

知らなかったことを知ることによってて、見えてくる世界がある。

 

 

言葉という存在がどれほど大切か非常に興味深いです。

 

 

 

最後に、労働の話に戻しますと

 

まだまだ知らない労働の闇が日本にはあるのかと思うとゾッとしてしまいます。

 

良い働き方の言葉が誕生し、広まるといいですね。