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快適中毒になった人たち

 

 前回と同じく「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」から気になったところを紹介。今回は「快適中毒」について。

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

快適中毒

それにしても、現代は人類の長い歴史の中で、特異な時代といえる。私たちは単に基本的な衣食住に快適さを楽しむ段階を超えて、快適中毒なのである。

 ネガティブな感情の中には不安や不快といった感情も入るが、現代においては快適さが十分すぎるが故に、少しでも快適ではない、不快なことが起こるとネガティブな感情が芽生える時代となった。例えば私の場合、きれいな洋式トイレが普通という感覚になったために、個室に入って和式だったり、汚かったりするととてもネガティブな感情が湧き出る。現代は快適さを追求した結果、その快適さを得ることができないとストレスが増す身体になってしまった。

 そして快適中毒になってしまったことにより、経験の幅は狭まると著者は警告する。

快適さへの欲望が満たされれば満たされるほど、私たちの経験の幅は狭まり、人生の困難を切り抜ける練習の機会を失う。

 著者は続けて「物質的な快適さが心理的適応力を損なう」のだと言う。アメリカの子供たちの食物アレルギーが1997年から2011年の間に40%、皮膚に現れるアレルギーは70%増加したことからも見て取れる。これはつまり「生活が快適になればなるほど、不都合だと思える出来事に対して、こらえ性がなくなる(p.55)」ということだ。この快適中毒によって引き起こされる害は計り知れない。日本のゆとり教育は失敗だとしばしばいわれるけれど、教育のシステムというよりかは快適な環境が普及したことによって今のゆとり世代と呼ばれる世代が誕生したのではないかと思う。そして今の子供たちはゆとり世代よりもさらに快適な環境にいる。もはや今の40代以降の子供時代とは環境が違いすぎる。そうした環境の変化が今後の人間の価値観、考え方にどういった影響を及ぼすのだろうか。

 快適中毒の例に家電がある。三種の神器と呼ばれたものは今や家に必須のように言われれるが、そもそもそんな神器がなくても人々は生きてきた。あれば便利に決まっているが、なくても生きていけるのだ。こうして快適に過ごすためのアイテムが今や「基本的なもの」という感覚で受け取られている。普通持ってるよねという普通という感覚もだいぶ変化してきただろう。他にも車のオプションもカーナビがあるのが当たり前になりつつある。こうして人々は消費社会から抜け出せない身体になっていく。

 ただ一つ思うのは日本人は今でも満員電車に乗って同じ時間に出社出勤している。これは快適中毒にハマってしまわないようにするための防衛策なのかもしれない。わざわざ不快な環境に身を置くなんてすごいなあ、日本人。

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本日の一冊。

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

ネガティブな感情が成功を呼ぶ

  • 作者: ロバート・ビスワス=ディーナー,トッド・カシュダン,高橋由紀子
  • 出版社/メーカー: 草思社
  • 発売日: 2015/06/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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