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本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

『オスとメスはどちらが得か?』

 本日の一冊は「オスとメスはどちらが得か?

生物界のオスとメスの世界を多く取り上げていて、どうしてオスとメスが存在しているのか、オスの役割、メスの役割とはなんぞやなど生物におけるオスとメスとは何かを教えてくれる一冊。タイトルは、5章「オスとメスの駆け引き」の項目から持ってきたもの。一長一短で決めれないという結論で、なんだよと思ったけれど、内容全般が面白く、楽しめました。

目次

基本はメス

 オスとメスの違いは色々あるけれど、それを語る時に基本にされるのはオスである場合が多い。オスにはあるが、メスにはないであったり、オスはこうだが、メスはこうなっているなど。しかし、著者は生物の基本はメスにあるという。

メスが子孫を残すのに対して、オスは卵や子どもを産んで子孫を残すことはない。生物にとっては、子孫を残し、自己増殖するということがもっとも大切である。そうであるとすれば、やはりメスのほうが大切である。

(中略)

生物の基本構造はまちがいなくメスである。本来であれば、メスを基本にしてオスの特異性を述べなければならない。生物の基本はメスであり、オスはそれを助ける役割である。

 メスは子どもを産むことが可能な存在で、それは生物においてとても大切なこと。それに対してオスは子どもを産むことができず、メスが子どもを埋めるようサポートする立場にいるのだから、基本はメスなんだよということ。

 確かに子供を産めないオスがどんなにいても子孫は増えないのだから、メスはとても大切な存在だ。しかし、オスが基本のように語られてしまうことが多い。それは人間の場合もそうであり、男女の話があがる場合、男が基本になっている。それはなぜだろうか。

天敵の有無と体の大きさ

 男が基本になってしまう理由は身体の大きさかもしれない。人間の場合身体の大きさは男の方が大きい。これは子供を産み、育てる女と子供を守るために身体が大きくなったわけで、ライオンやシカなどの哺乳類はメスよりオスのほうが大きい場合が多い。

 対して他の生物ではメスのほうが大きい場合がある。メスは子どもを産むためのエネルギーに見合った身体の大きさである必要があるし、たくさんの子どもを一度に産むために身体が大きくなっている。たいしてオスはメスに精子を送ればいいだけの存在から身体が小さくてもいいという。メスよりオスが小さい場合、オスにメスを守る役割は存在しない。どうしてメスを守らなくてよいのか。それは天敵が多いからである。天敵が多すぎて守れないというほうが正しいのかもしれない。

いくら親が保護していても、天敵に襲われて、親もろとも食べられてしまったのでは、全滅してしまう。それならば、親から離して産みっぱなしにしておいたほうがいい。つまり、子育てができるということは、天敵の少ない、限られた生物に与えられた特権なのである。

 天敵が少ない生物だからこそ、その数少ない天敵から守るために身体が大きくなったのではないかと思ったりしている。逆に天敵が多いと、親子が一緒にいるのは危険である場合が多い。だからたくさん産んでそのうちの数匹が生き残るという戦略をとっているというわけだ。本書ではマンボウを例にあげている。

マンボウという魚は、3億個もの卵を産むことが知られている。1匹のメスが、日本の人口の倍以上の卵を産むのだ。この卵がすべて成魚になれば、世界中の海はマンボウで埋め尽くされるだろう。しかし、マンボウの大量発生といった話は聞いたことがない。

実は、マンボウのオスとメス2匹から生まれた卵や稚魚は、他の魚などに次々に食べられ、最終的には2匹程度しか残らない。

  つまり、3億個の卵を産まなければ種を維持できないという存在であるということであり、天敵が多いとこのような戦略をとる必要があるというわけだ。われわれ人間は天敵が少ないからこそ、子育てができる存在であり、ここまで発展してきたというわけだ。人間より強い天敵がたくさんいたら、今の世界はないのだろう。

オスはメスのためにある

 本書ではオスの役割、メスの役割を多くの生物を例にして紹介している。さきほども書いたが、メスは子どもを産むために身体が大きくなり、オスは精子を送るだけでいいから身体が小さくなった生物もいるし、逆に子供とメスを守るために身体が大きいオスもいる。この身体が小さいオスも、大きいオスも、それはメスのためであると著者はいう。

小さなオスも大きなオスも、すべてはメスのためにある。オスとは本当に悲しい生き物なのだ。

  違う項目ではこうも書かれている。

すべてはメスのためである。そして、オスはメスのために命をかけて戦い続けなければならない。

  メスが子どもを産み子孫を残していくためにオスは存在するんだという悲しい現実を突きつけられていて、人間もそうなのかと思うと男の存在は儚い。では、どうしてオスという存在ができたのだろうか。

 メスだけで子供を産む生物もいるわけだから、オスがいる必要性はないのではないか。その答えは長い目で見ればわかるという。

オスがいることは効率が割るが、多様な子孫を残し、環境の変化に対応するためには必要である。つまり、オスという存在は短期的には損だが、長い目で見れば得になる存在なのである。

 オスとメスが出会わなければ子供を産むことができないという点は、メス一匹だけで子どもを産む場合より効率が悪い。しかし、メス一匹だけで子どもを産んでいく場合、その遺伝は同じものとなる。そうなると、同じ病気で全滅する可能性が出てくる。対して、オスとメスの半々の遺伝をもらっていけば、多様性が出る。そうすれば、同じ病気でも死ぬ個体もいれば生き残る個体もいる。そうして強い個体の遺伝が引き継がれていく。これがオスとメスがいる生物の強みというわけだ。だから、オスは必要な存在であることがわかるのだが、これを読むと、それこそ子孫を残すためにオスは存在しているということだ。

 生物界の多くではメスがオスを選ぶ場合が多い。それはメスが子供を産むことができるという存在だからだ。なのに人間の場合、男が女を選んでいるところがある。告白やプロポーズは男からという考えが広まっている。

 子孫を残すことを目的とするならば、女が強い男を選ぶのが普通なのかもしれないのだから、男からアプローチという考えは違うのかもしれないなと感じた一冊でした。

 本書では多くの生物のオスとメスが紹介されているので面白かった。図説で生物の写真があるとより一層楽しめそうである。

 おしまゐ。

本日紹介した本

オスとメスはどちらが得か?(祥伝社新書)

オスとメスはどちらが得か?(祥伝社新書)