本を熱いうちに読む

厚みのある本は苦手

『ストレスのはなし』を読んだ

本日の一冊は「ストレスのはなし - メカニズムと対処法

 「ストレスのはなし」とあるように、ストレスの仕組みと病気、対処などを教えてくれる一冊。鬱病ストレス障害の違いについても書かれていて最近の人たちは鬱病ではなくストレス障害である場合が多いと著者は指摘しています。

 病気とストレスの違い

 本書では刺激に対する脳の反応を「ストレス反応」と呼び、病気とは区別しています。

 つまり、疾病というのは(うつ病も含めて)"質"的要素が強く、「All or None」、イエスかノーかです。それに対して、ストレス反応は"量"的要素が強く「少しの反応、中くらいの反応、強い反応、非可逆的な反応(なかなか自然回復しないもの)」などと表現することもできるのです。そして、この非可逆的な反応を「ストレス障害」と呼びます。

 病気というのはイエスかノーかで判断されます。それに対してストレスはあるかないか以上に、どのくらいの反応があるのかを判断することができます。そして、このストレス刺激には様々な種類があり、本書では「単調な刺激」と「非日常的刺激」や、「プラス刺激」と「マイナス刺激」などが挙げられています。ここではプラス刺激とマイナス刺激についてもう少し書いておこうと思います。

能動的なプラス刺激と受動的なマイナス刺激

 プラス刺激とマイナス刺激は、心地良い刺激と不快な刺激のことです。

 プラス刺激は食欲、性欲、睡眠欲、行動欲(動きたい)、生命良く(生きていたい)といった五つの「欲動」に関する獲得欲求に加えて、美しい、美味しい、おもしろい、心地よい、達成感、満足感、充実感、幸福感などの感情獲得欲求に基づく行動によって得ることのできる刺激です。

 対してマイナス刺激とはどういったものを指すのでしょうか。

プラス刺激に対してマイナス刺激は、勝手にその人に降り注いでくる「受動的」刺激であるといえます。自分の一週間を振り返ってみてください。多忙な仕事、育児の煩わしさ、夫婦間の口論、友人とのトラブル、金策、騒音、テレビでの不快な報道、ツイッターでの中傷などなど、性滅場面で嫌な思いをすることがたくさんあるでしょう。 

 プラス刺激は基本的に自分から行動しないと手に入らない能動的な刺激です。対してマイナス刺激は自分の行動に関係なく振りかかってくる受動的なものです。ストレス反応というのは、基本的にこのマイナス刺激に対する反応のことを指し、このストレス反応が繰り返されることによってストレス障害に発展することがあります。ストレス障害になると、刺激を回避するようになり、能動的なプラス刺激を得るための行動が減り、受動的なマイナス刺激ばかり得ることになってしまうとあります。

ストレス障害

ストレス障害では、無意識のうちに刺激から逃れたいという思考や行動が生じます。あらゆる刺激に対して拒絶的になり、脳に刺激が加わらないように、刺激をバリケードするようになるのです。ところが、ストレス障害の原因となっているようなマイナス刺激は、受動的刺激ですから、ブロックすることができません。逆に、能動的刺激であるプラス刺激がブロックされることになります。その結果、プラス刺激がなくなり、すべてマイナス刺激で支配されるようになり、生活がまったく楽しくなくなります。

 著者の感覚では、このストレス障害が発症した場合の治療期間は全治3か月とあります。全治3か月というと大けがに分類されるのではないでしょうか。しかも、この3か月という数字はストレス障害の初期段階から適切な対処をした場合とあり、発症期間が長くなればなるほど回復にも時間がかかるとあります。

 さらに、最近の精神科に受診してくる人の多くはうつ病などではなく、ストレス障害である場合が多いと言います。

ストレス障害うつ病ではその経過も異なります。よくいわれるように「うつ病は一定の期間が過ぎれば勝手によくなる病気」です。それに対して、ストレス障害は病気というより怪我に近い状態で、ある程度症状が強い場合はほったらかにしていてはよくなりません。その意味では、ストレス障害のほうがうつ病よりも恐ろしいといえるかもしれません。

  ストレス障害は反応であり疾病とは少し違うため、治療方法も異なります。二つの違いを事例をもとに紹介してありますが、長いので割愛。

 ストレス障害はプラス刺激を回避しマイナス刺激のみが入ってくるようになることに注意が必要とありますが、日常生活の中でもこの心がけは必要で、マイナス刺激というのはどうしても降りかかってきます。例えばマイナス刺激が毎日3つはあるとして、プラス刺激がないと、マイナス刺激が100%になってしまいストレス反応が高くなってきます。しかし、プラス刺激を増やせばマイナス刺激は薄まります。ストレスというのは避けたくなるものですが、避けたくてもできない場合が多々あります。そんな時は、そのマイナス刺激に支配されず、プラス刺激をたくさんいれて薄めることが大切とあります。

 このプラス刺激はいわゆるストレス対処法であり、自分に合ったストレス対処法をたくさん持ち、それを日々行動することによってマイナス刺激に支配されない心ができあがるのです。マイナス刺激に支配されると、行動が億劫になってしまいますが、プラス刺激を入れるためには行動しなければなりません。プラス刺激を得る行動さえも億劫になったと感じ始めたらそれはストレス障害かもしれません。

 ストレスとうまく付き合えるといいのだけど、なかなか難しいなあ。

 おしまゐ。

 本日紹介した本

ストレスのはなし - メカニズムと対処法 (中公新書)

ストレスのはなし - メカニズムと対処法 (中公新書)